2012年4月16日月曜日

「記憶の家」竣工検査







本日は「記憶の家」の竣工検査でしたが、何事もなく無事終了しました。

現場ではまだ植栽などの外構工事、照明器具の取り付けなどが残っています。
今週末に設計検査、施主検査を行い、来週末にはソファ、ダイニングテーブルなどを
搬入してカメラマンによる撮影を行います。

設計のお話をいただいたのが一昨年の秋でしたから、完成まで1年6ヶ月が経過しました。
でも本当に早いもので、あっという間に過ぎてしまいました。

お子様の「マー君」は当初乳母車に乗せられた赤ちゃんでしたが、
今は元気に走り回り、いろんなことをしゃべります。そしていっぱいいたずらをします。。。。

全貌が見えた南面。5連の木製建具が取り付けられました。
下は正面玄関のある北面。広い敷地の中の一番奥に建てられています。

ハンガー吊の玄関建具。全開口するとワイド2.3メートルの玄関土間になります。
中にもう1枚内土間用の引き違い戸があり、空間に間合いを持たせてあります。
この木製建具の取手が木工作家「徳永順男」さんに「たたら鉋」で仕上ていただいたもの。
握ると手仕事のぬくもりが伝わってくるはずです。

リビングダイニングも内装仕上げが終わり、照明器具、美装などを待つばかり。
奥は和室になります。壁・天井共沖縄特産の「月桃紙」を貼っています。


リビングの5連引き込み戸、防犯ガラスを使っていますが、
防寒用に内側に同様の5連障子戸が用意され、また床暖房も
縁側ぎりぎりに仕込んであります。

薪ストーブが置かれる通り土間。右側の白い壁の部分にセットされ、
リビング建具を全開にし土間と一体化して広く使えるようにしてあります。
下の写真が通り土間ですが、左に見える縦格子の建具がリビングの
引き込み戸まだガラスを組み込んでいません。
壁はすべて漆喰の鏝仕上げです。
そして蛇籠の石塀の向こうには満開の桜並木が見えています。


玄関吊戸は下部に網戸が組み込まれた「無双窓」になってます。
必要に応じて開閉が出来るようになっていて、夏は田畑から吹く風を表通りに抜く
役目をします。つまり家の中を風が抜けていくわけで、クーラーを出来るだけ
使用しないように考えてます。

豊かな自然や日の光、それに自然素材を使ったゆったりとした空間が
そこここに配置され、おだやかな日々を演出してくれると思います。
羨ましい環境ですね「Yさん」!!

2012年4月12日木曜日

長いお付き合い



昨日は、集合住宅「プライマリーワン」シリーズ最新作2棟の地鎮祭でした。

新大阪で初めてデザインしてからもう15年以上経ったでしょうか。
昨日のブログに書いた(株)イング様よりも長いお付き合いです。
その間ずっとスタジオクランツォを助けていただきました。
N社長にはお世話になりっぱなしで。。。。

大阪市北区松ヶ枝町と天神橋1丁目にそれぞれ建設するのですが、
同時着工、同時竣工で来年3月に完成します。
朝10時から天神橋1丁目の地鎮祭、続いて11時から松ヶ枝町の地鎮祭。
神主さんはそれぞれ別の方ですが、参列者は同じメンバーなので
大忙しでした。でも神事は滞りなく終了しました。

こちらは天神橋1丁目。

そしてこちらは松ヶ枝町 。同じように見えますが違います。
地鎮祭が始まる前の写真はなかなか撮るチャンスがありませんでした。

設計者が二人なので「刈り初めの儀」は2棟とも一人ずつ2回しましたよ。
これから1年間、施主の(株)プライマリー様、施工者の
(株)昭和工務店さんとまたお付き合いが始まります。
昭和工務店さんには「記憶の家」「海に背を向ける家」の施工も
お願いしています。

夜には店内改装を担当して2年近くご無沙汰してしまった
フレンチレストラン「エテルニテ」へメンテナンスも兼ねて伺いました。
なかなか伺うチャンスがなくて。。。その間にマダムにはお子様が誕生し
もう6ヶ月になられるそうで。。。
シェフお祝いもせず本当に申し訳ありませんでした。

料理の内容ちゃんとブログに載せておきますから。
前後して食事に行かれた「海に背を向ける家」の奥様も
とても美味しいと仰ってましたよシェフ!

まずはエスカルゴとバターを生地の中に閉じ込め
サックリと揚げたアミューズから。
スプーンの中は人参を軽くマリネしたもの。

ホワイトアスパラとオマール海老の前菜、バジル風味のクリーム添え。

カサゴのロティ。筍や春野菜、菜の花のソース添え。

乳飲み子豚のロースト。色々な部位を添えて。
クセのないとても柔らかなお肉でした。

デザート前菜。苺とそのスープ。木苺のジェラートと共に。

メインのデザート。バナナクリームが入ったショコラのカップ。
下にピスタチオのクリーム。

お茶菓子。生チョコ、マスカルポーネのシュークリーム、無花果のケーキなど。

久しぶりにシェフとお話が出来て嬉しかったです。
お店も繁盛されているようで、自分達がデザインした星付きのレストランで
食事が出来るなんて設計者冥利に尽きますね。

そして、多くのクライアントの皆様と長いお付き合いが出来るのが一番嬉しいです。

皆様これからも宜しくお願い致します。


2012年4月10日火曜日

パーティ





昨日、私どもの主要法人クライアントの1社である「株式会社イング」様の
創業30周年記念パーティがポートアイランドホテルで盛大に開催されました。
「INGNI」のブランドで知られる若い女性に絶大な人気のファッションメーカーです。

丁度15年前の1999年、当時の代表取締役社長であった「Aさんご夫妻」が
ご自宅の設計者を探されている折、ある設計組織を通して知り合いました。

年齢が一緒であったことや建築デザインの感性をとても気に入っていただき
意気投合し設計を任せていただいたのがお付き合いの始まりです。
当時名刺をいただいたのですが、確かに代表取締役社長とありましたが
失礼ながら女性服には疎く正直名前も知らない会社でした。

「Aさん」のお住まいの竣工予定まで3年程時間がありました。
そこでその間に事務所兼集合住宅を別途計画しているが、
一度会わせたい人がいると紹介されたのが「O会長」でした。
早速資料をいただき集合住宅のプレゼンをしたのですが、
プランをとても気に入られすぐに設計を始めるように依頼されました。

それをスタートに数多くの建物の設計をさせて頂きました。
たった3人の小さな設計事務所に建築の可能性を託していただいたことに
本当に感謝しています。
なかでも本社・物流センターの設計は思い出深い建物でしたし、
スタジオクランツォを大きく羽ばたたせてくれた作品であったと思います。

お二人には言葉では言い尽くせない支援を頂きましたし、
ずっと変らずフランクにお付き合いをさせて頂いていることを
心の底から感謝しております。

設計を担当した本社・物流センターの映像を前にお話していただいて
なんだか目頭が熱くなってしまいました。





パーティがお開きになり帰ろうとしていると、O会長(代表取締役ファウンダー)の
奥様が「駅まで送るから一緒に車乗って行ったら」と仰ってくださいました。

私もお会いするのが久しぶりでしたので、お言葉に甘え同乗させていただきました。
車に乗る瞬間なんとなくいつもの車に似ているけれど何か違うなあと感じてました。

運転手さんに車新しくなったんですか?と聞いてみたら、去年新しくなりましたよの返事。

な、なんと車名にRが2つ付く世界の最高級車になってました。
こんな車なかなか乗るチャンスもないのですが。。。

ちょこっとだけ車内の写真を撮らせていただきました。
ドアの開閉も軽く押すだけでちゃんと閉じてしまいます。
あんまり恐れ多くて、シャッターをたくさん押せませんでした。

人との出会いとは不思議なものですが、出合った方々と
ずっとお付き合いできる喜びは格別のものです。

同じ歳の「A会長」を拝見していると、知り合った頃僕に語られていた
「願い続ければ叶う夢」を確実に実現されている。

本当にお二人とも「真の男」を感じる素晴らしい方々です。
これからもお付き合い宜しくお願いいたします。

2012年4月9日月曜日

「錨を下ろしたフロートハウス」始動!



日曜日、和歌山県新宮市で計画を温めていた住まい「錨を下ろしたフロートハウス」の
概算見積提出立会いのため「ASJ紀伊田辺スタジオ」を訪れた。

施主の「Mさんご夫妻」も新宮市から田辺市までお越しいただいた。
自分達の考えている予算と見積がかけ離れていないか心配だったようですが
なんとか近い数字がスタジオより掲示され、まずはホッとしたところでした。

3月始めのファーストプレゼンもドキドキだったそうですが、
今回は予算に絡む話だったので余計にハラハラ、ドキドキだったそうです。

何とか提案したプランが新宮の街に建ちそうです。
施主も施工者も私達もこのプランを是非建てたいと願っていたので
私もちょっと嬉しくなってしまいました。

新宮までは大阪から特急電車で4時間程かかりますが、
あまり時間の長さを感じません。

何故なんだろうといつも不思議に思っていたのですが、
名古屋の「抱きしめられる家」もこの「錨を下ろしたフロートハウス」も
電車に乗っている間ずっとその建物の事を考えているんですよね。
だから、時間の長さをあまり感じない。
たつの市の「記憶の家」や岡山県瀬戸内市の「櫻山居」でもそうでした。
心底、建築が好きなんでしょうね。

敷地に3mほどの足場を組みそこへ登って浮島や神倉山が2階リビングから
どのように見えるのか検証しないといけません。
山の美しい部分だけを切り取って室内に取り込みたい。。。。

1階の平面計画。東、南方向からの光が玄関ホール、階段廻りで
悪戯に遊びまわるはずです。

2階プラン。右奥はご主人の隠れ場所!?になるAVスペース。
L字型にリビングダイニングがレイアウトされキッチンで作業しながら
神倉の山々を望むことが出来ます。

打合せが終わり、帰りの電車の時間まで余裕があったので
田辺の街を少し歩いてみようと思い、どうしても行ってみたかったところ
「南方熊楠顕彰館」へ向かいました。
この建物は2003年公開コンペによりインテグレート・デザイン・アソシエーツ+
堀アーキテクツが設計を担当し2005年7月に完成している。

外壁は溶融亜鉛メッキリン酸処理したものを横張りにしてあります。
ガラスフレームの内側に木組みの格子を使ってあり、
内部に入ると日本的な空間美がどこと無く漂っています。

当時、熊楠が生活していた住まい。
この辺りは田辺市の中でも比較的裕福な方達が当時から住まれてて
いたのではないでしょうか。街並みが落ち着いていて敷地も広く
家の作りも立派です。
家の中から熊楠さんがひょこり顔を出しそうな佇まい。


新旧の建物が絶妙なコントラストを作っていますが
この風景がとても新鮮です。

この風情のある街並みを歩いて行くと 海へ出ました。
扇が浜という海水浴場もある、田辺市民憩いの場所。
田辺湾の対岸には白浜の旅館街が霞んでいます。

「春の海ひねもすのたりのたりかな」と与謝蕪村を思う
のどかで、どことなく幸せな風景です。

ゆったりと心を落ち着かせる素敵な時間を過ごす事が出来ました。

「Mさん」完成までは1年半程ありますが、いろんな事話ながら
納得のいく家づくりしましょうね!

2012年4月7日土曜日

足場が外れた記憶の家




昨日に引き続き、今日は足場を外した「記憶の家」へ
最終の打合せに出かけました。

まだ大阪市内より気温が低いのかバイパスの街路樹である桜並木は
2~3分咲きです。ずっと気が付かなかったのですが、
室内から桜の開花が手に取るように見えます。
Yさんの奥様から教えていただきました。
でもちょっと距離があるかなあ。150メートルくらいあるだろうか。

本日は左官屋さんに指導を受けながらご夫婦で
漆喰を寝室の一部に塗っていただきました。
けっこう楽しんでらっしゃいました。
鏝に漆喰を載せるちょっとしたコツが必要なようです。

通り土間の天窓からは青空しか見えません。
奥様が一日中ずっとこの天窓から空を眺めていたいと仰ってた
気持ちがよくわかります。もう少し暖かくなるとこの窓から光の帯が
壁に美しいラインを作るのでしょうね!楽しみです。

和室には奥様のリクエストで調湿効果のある沖縄特産の月桃紙を
壁紙の代わりに貼りました。とても健康によい気持ちのよい和室です。
天井はいつものように船底にしてあります。

蛇籠、コールテン鋼に馴染む外観
和テイストですが少しモダンにしてシャープな印象を表現してます。


今月末にはカメラマンによる撮影を予定しています。
もう少しで完成ですが、ブルーシートで覆ってある部分には
5枚引き込みの木製建具が入り、デッキ材の濡れ縁とつながります。

本当に出来上がるのが楽しみになってきました。
工事の皆さん、あと一息です。気を抜かないで頑張りましょう!

2012年4月6日金曜日

足場が外れた!






今日は変な天気でしたね。
かなりの降雨だったり、すっきり晴れたり。。。。

神戸王子公園の「海に背を向ける家」では外構工事のため
足場をすべて撤去しました。
内部では塗装工事とペイント下地の紙クロスの施工中です。

3月27日のブログではまだ蕾も固い状態だった遊歩道の桜はもう満開です。
桜の下では夜桜見物の場所取りが始まってました。


満開の桜の花も美しいのですが、いつも花が咲くたびに気になるのは
幹の途中からひょっこり顔を出した花房。なんだかとても愛嬌があり好きなんですよ。
勢いあまって咲いちゃいました的な、花見客はみな満開の花のほうに目がいくけど
幹の後ろ側なんかにちょこっと咲いてたりする。。。僕はちゃんと見てるよ!

そうそう、先日のブログで書いてた「平戸ツツジ」のような幸せカラーの芽、
実は「レンギョウ」でした。下向きに付いた黄色のふくらみは花びらでした。
このレンギョウも満開!やっぱり春はいいなあ。ウキウキします。

足場を撤去した「海に背を向ける家」の一部。
周辺環境からと飛出しないデザインであることが求められました。

外壁右側には断熱効果のある「抗火石」が貼られています。
それ以外の部分は「外張り断熱 」されています。
スリット窓の取りかたが面白いでしょ。見た目、梁の位置を曖昧にしたかったので
1,2階ともガラスでつなぎました。
地上階部分の外部も抗火石が貼られ、より一層質感が増すと思います。

内部の仕上げ状態。
左からモスグリーン色のFARROW&BALLで仕上た壁、美しい色です。
右隣の白い部分は下地の紙クロスを貼った状態。
そして、ボードにパテ処理状態の吹き抜け部分。
ここにはロートアイアンの手摺りが付きます。

グリーンの部屋はご主人の少年時代からの夢を実現するスペースです。。。

個室、主寝室、リビングダイニングなどそれぞれに異なる色の
FARROW&BALL塗料が塗られることになっています。

スタジオクランツォではその土地、環境、お施主様の意向などを読み解き
その場所にしか存在しない「美しく洗練された住まい」作りを目指しています。
同時平行して完成に向かってる「記憶の家」とはまったく対照的な住まいです。

また、大阪市北区の集合住宅2棟「松ヶ枝町プロジェクト」、並びに「天満宮プロジェクト」の
地鎮祭が来週11日それぞれ行われることになりました。

春は何かと忙しい。。。。

2012年4月4日水曜日

スプマンテを飲みながら






週末の夜、少し時間が取れたので久しぶりに友人と仕事を抜きにして
お酒を飲みながらの雑談話を楽しんだ。

選んだお店はアメリカ領事館横にある「ヴィネリア・リンコントロ」
ここには知り合いの横山シェフもいるし、おつまみ系を注文しながら
ワインを愉しめるちょっと洗練された感じの店。

この日はイタリアのスプマンテをボトルでオーダーし、それに合いそうな
一品をいくつか頼んでみた。
どれもそれほど手を加えず、(加えているものは徹底して拘ってるけれど)
オリーブオイル、塩、胡椒で味付けしたもので、イタリア料理らしいい品々です。

鰯を軽く炙って、カプレーゼと共に 。

桜鱒や鯛、イカなど海の幸のカルパッチョ。シンプルな味です。

イタリア産ではなかったけれど、スペイン産生ハム(ハモンセレーノ)

イカ墨のリゾット白魚添え。イカ墨の風味が最高でした。

手打ち麺のボロネーゼ。牛タン、オックステールを時間をかけて
煮込み牛本来の旨みを引き出しています。



なんだかんだと言いつつも、結構な時間が過ぎていましたが
美味しいものを食べながら他愛も無い話をしている時間が
一番のストレス解消になるのかも知れません。

せめて月に一、二度はこんな日が欲しいなあ。