2013年4月4日木曜日

長崎のいくつかの事(2)



お墓参り途中の外海町(そとめちょう)辺りまで来ると、
左手に断崖絶壁が続き、その山肌に這いつくばる様に
カソリック教会の十字架が見え隠れする。

それはレンガを積み上げたものや、漆喰で仕上たものなど様々だ。

この辺りは隠れキリシタンの里で、今でも多くの信者が暮らしている。
学生時代に読んで感銘を受けた、遠藤周作氏の名作「沈黙」の舞台になっている場所だ。

いつも立ち寄ろうと思うのだが、何故か通り過ぎていくことが今まで多かった。

僕が中学生の頃、道はまだ整備されておらず道幅は狭く曲がりくねって、
車同士がすれ違うのやっとだった。乗り合いバスの窓から下を見ると、
東シナ海の波が砕け散る岩場がはるか下に見えた。とても怖かった。
いつも一刻も早くこの場所を逃れたいと思ってたからか、
道路も拡張整備され、展望台なども出来たこの頃でも
癖なのかさっさと通り過ぎる事が多かった。














長崎の教会群がユネスコの世界遺産(文化遺産)暫定リストに
追加記載された事を知り、あらためて教会群をちょっと訪ねてみたくなった。

角力灘(すもうなだ)に面した大野という場所が、当時一番スリリングな場所だった。
その大野バス停あたりから山間に斜面を登るとフランス人のド・ロ神父と
村民達が力を合わせて作った「大野教会」が見えてくる。
































ド・ロ神父はフランス・ノルマンディ地方の貴族出身だそうが、
私財を投げ打ってこの外海の人々にあらゆることを教え指導した。
ド・ロ神父については知って頂きたい事がたくさんあるため
また別の機会に書きたいと思うが、この「大野教会」はとても素朴だが
とても美しい。
美しいというのは「姿かたち」だけではない、人々の苦労と神に仕えるという
喜びの跡が一つ一つ丁寧に詰まれたド・ロ壁と言われる石の壁に見てとれる。

































1893年献堂 
どこかヨーロッパの田舎にあってもおかしくない建物だ。
スペインとかスイスとか。。。。
ヨーロッパとか日本とかそんなことはどうでもいいと感じさせる
素朴で存在感のある、自然と調和のとれた美しいい建物。














無性にこの建物をテーマにして油絵を描いてみたくなった。
ド・ロ壁の質素さが、主張を抑えた日本的な建築と相通ずる部分があり、
ミニマムでとても心に響いてきます。


















巡回教会のため神父様は常駐していないが
ミサ以外では秋に一度だけ玄関の扉が開くそうだ。

なんとなくだけど、ポルトガル・マルコカナベーシェスにある
シザの教会と相通ずるものがあるような気がします、

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