2014年7月26日土曜日

夾竹桃



「LINEA PARALLELA」のお施主様から、
前庭の目隠しに植える樹木の相談を受けている。

計画地のすぐ近くの集合住宅沿いに植え込みがある。
そこに咲く赤やピンクの花が奥様のイメージに近かかったようで
「山口さんその樹木はなんという名前かご存知ですか?」と尋ねられた。

以前からそこには「夾竹桃」が植えられていることに気付いていた。
この植物は南方系の植物と思っていたので、
雪が積もる敦賀に街路樹として植えられていることが不思議に思えたのだ。

「夾竹桃という木で、僕の故郷、長崎にはたくさん植えられている木ですよ」と
お答えした。
もともと中国原産だと思っていたのだが、調べてみるとインド原産で、
中国経由で江戸時代中期に日本に入って来たようだ。
そのころ入って来たとすれば、南蛮貿易を通して長崎に入って来たということであろう。

残念ながらこの木は根・幹枝・葉・花・実まですべてに毒があり、
小さなお子様がいらっしゃるため、庭に植えることを断念せざるを得なかった。

そういえば幼い頃、この木に触るなと何度も両親から言われた記憶がある。

近所の西坂の丘にある26聖人殉教碑の周辺には夾竹桃がたくさん植えられていたし、
浦上の平和公園には生垣代わりにこの木が土手に植えられていて、
その生垣を抜けて公園に行くのが近道だったのでよく利用していた。
その枝を折るとネバネバした白い樹液が出てくるのだか、
その液を一緒に遊ぶ仲間達にくっつけようと追いかけっこをしていた。
今の親達がみたら激怒するだろうな。。

今井兼次設計 「二十六聖人殉教記念館」をバックに
赤やピンクの花をつける夾竹桃。
































騒音に近い五月蝿いクマゼミの鳴き声と、
この赤・ピンク・黄色・白などに染まる「夾竹桃」の夏の暑い日は
私の原風景の一つですが、広島では原爆投下の復興のため
市街地にいち早く植えられた植物だそうで、広島市の木になっています。

長崎でも100年は一切の植物が育たないといわれた原爆投下中心地近くに
この木は数多く植えられ、すぐに花を咲かせるようになり、
長崎市民を勇気づけたそうです。

そして、もうすぐあの暑く長い夏の日が来ます。
ヒロシマは8月6日、ナガサキは8月9日
原爆落下中心地で勤労動員として働いていて一瞬で亡くなった叔父。
その叔父を探すために疎開地から長崎に入り、
放射能汚染で白血病となった亡き祖父。。。
静かに冥福を祈りたいと思います。

紫陽花が長崎市の木になっていますが、夾竹桃も長崎を代表する樹木だと
僕は思いますし、とても好きな樹木です。
その夾竹桃が好きで庭に植えたいと仰った奥様にとても感謝しています。
「Tさん」本当に有難うございます。嬉しいです。

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