誰の心の中にもある郷愁・憧憬・切なさ。。。。
単なる故郷へのノスタルジーではなく、
今の自分を育ててくれた家庭・家族・友達、
身の回りにあった風景・街・人。。それらを思う気持ち
長崎というある意味特別な街。
(西坂の丘にある二十六聖人殉教の碑)
ポルトガル語で言うところの「Saudade」
自分の生き方や設計する住宅を含めた建築の根源にあるもの
それがSaudadeなのだと思う。
何故それほどにも。。と思うほど、思春期までを過ごしたこの街の
美しいものも朽ちたものもこれほど記憶しているのだろう。
(外海の出津教会)
(東山手 母校と石畳一つ隔てた隣の活水女学院・木造洋館)
ポルトガルを一人訪ね、彷徨い歩いた時
その気持ちは頂点に達した。。
この街の風景がこれほどまでに、
心の中に仕舞い込んでいた敏感な年頃の記憶と
どこもかしこも一致するのだろうと。
(リスボンのケーブルカーと路面電車)
たった一度だけ訪れただけの国、ポルトガル。
なのにどうしてこんなに「Saudade」を感じるのだろう。
自分がどこに居るのかわからなくなってしまう。
故郷の街の美しく仕上られた壁の色よりも、
朽ち果て汚れた壁や石垣に愛着を感じ、
穏やかな陽射しの中、苔むした石垣の隙間に潜む遠い過去の匂いや
枯れたツタの蔓を指でなぞり、アマカワのぼろぼろと崩れる様を眺めながら、
乾いた空気に乗って流れてくる天主堂の鐘を聞いていた。
とても愛おしい記憶であり、懐かしい匂い。
それら一つ一つをこれからの時間、拾い集めてみたい。
きっとこの先の道標として、新しく考える住まいの
助けになってくれるに違いない。
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