2013年12月3日火曜日

「家族」



数日前の日曜日、「碇を下ろしたフロートハウス」のMさんご夫妻が
大阪にお見えになりました。

京都のある料理店で、料理のプロ達にMさんが丹精こめて育ててる、
黒毛和牛の肉質を見ていただきたいと思い、新宮からお越し頂いたのです。

「西天満 松弥」主人Nさん、調理をお願いしたHさん、それにサプライズで
「ラ・ベガス」のSシェフ。。。。錚々たる顔ぶれです。
こんなとんでもない料理人が揃っていただけるとは思いもしませんでした。

HさんやNさんから料理人の真剣勝負な食材に対するこだわりを
その食材を目の前にしてお話いただき、Mさんも緊張の面持ちでした。
僕もあんなに一つの事に執着し、極めようとする純粋な人たちを
初めて見ました。

写真は掲載出来ませんが、和牛と比較するために
大事に寝かせてある(熟成させてある)食材を、空気に触れると傷むのを承知で
敢えて目の前に広げて見せて頂けるなんて、Mさんも僕も驚きました。

そこにはこれから必死に頑張ろうとしている若者を
叱咤激励する料理人たちがいました。

素晴らしい出会いであったと思います。
頂点を極めようとする人たちが、本音で忌憚のない意見や話をしてくれたことは
Mさんにとって貴重な体験ですし、将来への大きな道しるべになったはずです。
彼らを本当に満足させるには途方もない時間が必要かもしれません。
でも、Mさんはそこへ到達すると僕は思っています。必ず。。。。


興奮冷めやらぬ京都駅でMさんご夫妻から、住まいの設計のお礼にと
エルメスの手帳を頂きました。














中にはお礼を綴られた手紙も入っていました。
読んでいくうちに、出会いから今までのことを
走馬灯のように思い出しました。
ほとんど打合せらしきこともせず、ただ、ただ3人でいつも食事をし
「牛」の話ばかりして住まいが出来上がるまでの2年が過ぎていきました。
お二人が僕にすべてを任せていることはよくわかっていました。

新宮を後にする最終の特急が出る前、いつも駅に見送りに来てくれてました。
それはクライアントと設計者の関係を超えていたように思います。
いや、少なくとも僕自身はそんな関係を望んでました。

他のクライアントすべての方に僕はそのような関係を望んでいます。
家は「家族」を知らない人が作ってはいけないような気がします。
家族と同じ目の位置で考え、家族を思う気持ちが身体を衝き動かし
設計図という線を引いていくのだと思います。

この手帳、大事に、大事に使わせて頂きたいと思います。
そして、クライアントという「家族」ともっと濃密な関係になりたいと思います。
学び得なかった技術や知識だらけだからそれしか出来ません。。。











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