2013年6月22日土曜日

必然



世の中に偶然とか必然とか当てはめられる事象は、
数え切れないほど存在するだろうが、
偶然を必然に変換する「何か」がそこに存在しているのかもしれない。

すべての事は偶然なのかもしれないし、必然なのかもしれない。
ただ、見知らぬ者同士が、意志を持って何らかの機会に知り合う。。。

私達の仕事は建物の設計デザインです。
この仕事はモノを作って店頭などに並べ、買いたい方に販売し、
利益を得るような仕事ではありません。
また、作品を作品集やCDに収め、人に見せながら一つ如何ですか?と
セールスする仕事でもありません。

クライアントが建物を建築するという必然性で成り立っているわけで、
その希望を叶えてくれる「感性や資格、経験」といったものを持ち合わせた、
自分達に出来ないことを完遂してくれる専門家に出会うことから全てがスタートします。
意志を持って探すわけですからそれは必然といえると思います。

そいうった必然性の中に、それ以上の必然性を求める時もあります。
何故かといえば、お互いを知り合うための話題や出来事を共有することにより、
互いの距離をもっと近づけたいからです。
それは恋愛の始まりの時と似ているのかも知れません。


1本の電話からこのプロジェクトはスタートしました。

僕の知らぬところでクライアントである「Tさんご夫妻」は新しい住まいを
建てたいと考え、土地を探し、自分達に相応しい建築家がいないか色々な
情報で探されました。
そんな過程で僕の作ってきた住まいに目を止められました。

先日、初めて敦賀の街でご夫妻とお会いしました。
とても穏やかでしっかりと地に足が着いた考え方をされているなあと感じました。

奥様は大阪府豊中市のご出身。年齢的には親子ほどの歳の差ですが、
私が設計の仕事を最初にスタートさせた豊中市西緑丘にほど近い高校に
その頃通学されてました。
ロマンティック街道と呼ばれるようになったその道は当時はお店の数も少なく、
必然的に同じような店に出入りしていただろうと思います。
ご結婚されてからも新大阪駅を挟んで北、南に住んでいたことも判明し、
なんだか同じ空気を吸っていたような共有感を覚えました。
それは偶然なのか、必然なのか。。。。

金沢に住んでいた30年ほど前、僕は敦賀の街へ足を運んでました。
Tさんが計画されているお住まいから数百m離れたところに
「気比の松原」という美しい海岸があります。
































数日前、その松林の中を歩きながら当時の事を考えていました。
確か、松林の前に学校(敦賀高校)があったよな、その角を曲がって
半島の方へ向かって行った記憶が鮮明に蘇ります。
夏の暑い日にグランドで駆け回る生徒達の歓声も、松林の中で休憩したことも
少しずつ蘇ってきます。あの時と変わらぬ風景が今もそこにあります。

あの時の事象があるからこそ、今の出会いもあると思いますし、
ご夫婦が暮らされていた街や敦賀が見知らぬ街でないことが、
建物のイメージに具体性を持てるのかも知れません。

やはり必然ということなんでしょう。



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