2012年12月2日日曜日

ノムラモミジ



数日前、現在建っている和風住宅を取り壊して
新しく立て直す計画の敷地測量に出かけた。

場所は京都の左京区。閑静な住宅地だ。
外部は以前下見調査で伺って確認していたが、
今回初めてお住まいの内部を見せて頂いた。

内部写真は公開できませんが、大工さんが
丹精を込めて作った数奇屋風のお住まい。
玄関土間に入った瞬間からその技の凄さをひしひと感じる。

初めてここに一人でお住まいのお母様にお会いした。
上品でとても美しいお母様でした。
息子さんご夫婦を交え、今まで守ってこられたこの家のしきたりや
動かしてはいけないもの、比叡山から流れるよい「気」の通り道などを
丁寧に教えていただいた。

奥の庭を見せて頂いた時、そこに凛と佇むノムラモミジに
圧倒されてしまった。

写真にスタッフの「M君」が写ってますが、測量のため庭に
入らせていただいてます。


















周りが沈んだ色合いだけにこのモミジのあでやかさが一層目立つ。
あまりの美しさに驚いていると、「私を切らないで残して欲しいと
精一杯美しく装っているのでしょう」とお母様が仰った。

写真では表現できないけれど、素晴らしい深い朱色だった。
しっかり脳裏に焼き付けましたよ。
これは新しく計画するお住まいに必ず生かしますからとお母様に申し上げた。
「本当に良かった、良かった」と何度も頷かれホッとされたようだった。
息子さんもこんなに「美しかったとは今まで気が付かなかった」と仰った。


















それから居間の天井を指差され、「ここは船底天井になってるんですよ」と。
それもまた嬉しかった。「実は僕は和室を作るときは必ず船底天井に
してるんです」と、私の父が造船技師で50年前自分の家作るときに
居間の天井を船底天井にしたこと、少年時代それが美しかったので
ずっと父親の思いを受け継いで設計するお住まいの和室はすべて
船底天井にしてることをお話した。

飛び石、沓石など沢山の鞍馬石が使われていて、とても貴重なのですが
どうやってそれを使っていくか思案のしどころです。

何せ生活感のない「BW‐H」のお住まいをイメージされているので
そのギャップを如何に埋めていくか、これから日々悩まないといけません。



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