2012年8月6日月曜日

濃密な空気の町



週末、紀伊田辺市でリノベーション住宅のプレゼンを終え
そのまま大阪へ帰ってもよかったのだが、
車窓から見える海は遠くにある台風の影響で荒れていて
その様子から、新宮市の海岸に近い高台にあるUさんの敷地が、
どんな状況なのか確かめたくなってそのまま新宮まで来てしまった。














新宮に近づくほど雲行きは怪しかったが、
まあ行けば何とかなるだろうといつもの調子で来てみたものの
太平洋から吹き寄せる潮風はたっぷりと水分を含み
ねっとりとした空気が身体を包み込む。
大型の黒揚羽蝶が飛び回り、見たことの無いような野鳥が
木々を渡っていく。
しかしそれが亜熱帯に似た特有の濃厚な空気を作り、
生まれ故郷に近い何か懐かしい匂いがする。
































敷地に立ち、静かに目を閉じ耳を澄ましてみた。
吹付ける風に混じり潮騒の音が聞こえる。
「波の音が聞こえるんですねえ?」と散歩で通りがかった人に
言葉を向けると、「そんなことは当たり前ですよ」という
顔で静かに微笑まれた。

茫洋とした太平洋の水平線ばかりに目がいくが、
考えてみれば南東方向に下る緩やかな斜面は途中で立ち消え
紀勢本線の線路と砂浜に続く崖になる。
直接外洋の大波が打ちつけるその場所から
さほど遠くない高台にこの敷地があることが自分の足で
歩いてみてわかった。
































棕櫚の木にサツマイモ畑そして赤土、それは南の島の
風景そのもの。
以前から計画している同じ新宮市の「錨を下ろした
ボートハウス」とはまったく違う場所であるけれど
この辺りは雨や土が下から上に降るそうだから
真摯に環境と向き合わなければ思わぬしっぺ返しを
くらいそうだ。


















何よりもコンセプトを大事にしたいというクライアントに
納得いただけるものを作らなくては。。。。
歩き回ったおかげでコンセプトの核になりそうな発見がありました。

「錨を下ろしたボートハウス」のMさん、新宮の滞在時間が
2時間30分しかなくてお会いできませんでしたが、
次回来る時は必ず食事ご一緒しましょう!

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