2012年6月28日木曜日

風景を作り出す















写真はあるプロジェクトのプロポーション模型。
これをベースに少しずつ手を加えリアルな建築へと
変化していく。


新しいプロジェクトの始まりはいつも計画地の下見から始まる。

最寄駅から徒歩で計画地へ向かい、途中の風景や光、風
音、匂いなどを記憶する。
また人々の生活の場やそこに存在する文化、風習などが
イメージを手助けしてくれる場合もある。

住まいの計画地には新しく生まれるであろう建物を補ってくれる
何かが存在していることが多い。
それは海や山、池、河、などの自然や都市などであったり、
近接する場所に生育する樹木や野鳥などの生物、
古い建築など構造物だったりする。
そういった何かがあると、コンセプトも建物のイメージも
作りやすいのだが、この計画地は真新しい造成地で、
まだ風景を作り出す何かが存在していない。















と言うことは今回は新しく風景を作り出さなければならない。

イタリアの建築家 故「アルド・ロッシ」は「1つの建築が都市をも
変化させる力を持っている」と述べているが、そんな大そうな
建物でなくとも新しく形成される街であるならば、大手メーカーの
工業製品が乱立して、どの場所でも同じ風景になってしまい
金太郎飴状態になる前に楔を打つことが出来るかもしれない。

近隣の少し成熟した街並みの中には建築家達の作品が
所々に見え隠れし、潤沢な樹木と共に街をことのほか
豊かにしているように見える。

このプロジェクトのコンセプトを基に具体的なカタチやアイデアを携え、
クライアントと話し合い「美しく洗練された住まいの風景」を新たに
構築できれば、少しでもこの街並みに変化を与えることが
出来るかもしれない。そのために多くのドローイングスケッチを描く。



















打ち合わせに向かう電車やバスの中、自宅でふと閃いた時など
時間があればこのスケッチブックを開く。
実施設計が終わる頃、このスケッチブックは使いきり、
コンセプト文、図面や色々な資料と共に1冊にファイリングされ、
本棚に格納されることになる。

また一つ、新しい道を歩き始めようと駅に降り立った。

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