神戸市で工事が進む「海に背を向ける家」も間もなく上棟です。
奥のほうに四角い箱の階段部分が見えますが、
その下に地上階の玄関廻り、エレベーターホール、
ガレージが並んでいます。
梯子が掛かっている部分に階段が付きます。
このフロアの階高は4mあるのでかなり高い住まいになります。
リビングにある吹き抜けはなんと6m近くになります。
数日前のブログ「訃報」を読まれたこの「海に背を向ける家」の奥様から
浅井さんのことを書かれたメールをいただきました。
この建物は計画当初、あるイベントでTAO建築研究所の「故浅井孝司」さんを
紹介していただいてプランニングを進めることを考えられていたそうです。
施主の奥様も浅井さんの人柄や作風に惹かれて、設計を依頼しようかと
考えられたそうですが、施工会社と波長が合わず計画を断念されたそうです。
数ヵ月後、施主が時々家具を買い求められる「神戸木國堂」の社長から
住まいを計画されている方がいらっしゃるので、一度会って欲しいと依頼がありました。
お会いした後、お話がどんどん進んで私どもで設計監理をすることになったのです。
その後、僕はブログに書いた通り50人の建築家展で浅井さんと知り合うことになったのですが、
仲良くなる前に彼は逝ってしまいました。
浅井さんも施主の奥様も私も「長崎生まれ」という共通点があることも不思議でしたが
浅井さんと僕との巡り合わせ、そのことをブログに書いたことがきっかけで
奥様と浅井さんとの出会いを知ることになりました。
僕にとって「海に背を向ける家」は何か浅井さんの意思を継いでるような気持ちになって
しまいました。
実を言うとこの「海に背を向ける家」の道を100mほど真っ直ぐ下ったところに
彼が設計した小さな音楽堂を持つ共同住宅があります。
いつの頃からか、設計が始まってから偶然にもこの家の前の坂道を登って
施主の自宅を尋ねるというのが、僕のいつもの訪問コースになっていました。
勿論、彼がその住まいを設計したとは知りませんでしたが、
何か彼に引き寄せられていたのでしょうか。
今日もこの坂道を登って「海に背を向ける家」へ向かいましたが、
彼の設計した建物の前で立ち止まりしばし眺め深々と頭を下げました。
彼とは結局仲良くなれる時間はなかったけれど、何かそれ以上のすばらしい
出会いを得たような気がします。
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