2011年8月27日土曜日

子供の心と建築 1




地下鉄御堂筋線の吊広告で下の写真の絵がレイアウトされた展覧会の告知が気になっていた。

心斎橋にある「大阪市近代美術館(仮称)心斎橋展示室」で開かれている
夏休み・みんなで楽しむ展覧会
「いつの人? どこの人?どんな人?」だ。

いつもの事ながら僕の早とちりで、子供の描いた作品の展覧会だと勘違いしてしまった。
パンフレットによれば
「子供向けの展覧会ではなく、子供達こそ作品鑑賞の達人=アートナビゲーターととらえ、〝おとな〝が
子供と一緒に楽しむ展覧会」とある。その展覧会に行ってみたら。。。う~んまったくの勘違い!でした。

実をいうと子供の描いた絵が大好きで、この歳になってもまだ子供みたいな絵を描きたいと願っている。
心の核心は子供でいたいとも思っている。

「子供みたいな絵」ってなんだ?と思うかもしれないが、誰が見てもきれいとか構図がすばらしいとか
モチーフを的確に表現しているとか。。。。そういう絵でない絵。
出来れば意図を持たないイタズラ画みたいな。。。口で言うのは難しい。
熊谷守一さんや片岡球子さんの「ゲテモノと紙一重の絵のような」というべきか。。。

利き腕で筆を持つと意識的にきれいに描こうとか、上手く表現しようとか、
誰かに上手いねと褒められたいとか、そんな意識が先にたって小手先でこねくり回したような絵になる。

純粋に心で感じたものを絵の具やクレパスで描きたいと思って、それで利き腕でない反対の手を使って
描いてた時期がある。
頭で考えた絵を「意識と直結しにくい利き腕でない方の手」で描いたら、思うように描けないからきっと
楽しい絵になるのではないかと。。。結果はそれなりに楽しい絵やイラストになった。
でも使い方に慣れたらきっと利き腕とおんなじような絵になるだろうね。

幼稚園の頃、「りんご」を描こうというお絵かきの時間があった。
僕は「黒い色で四角いりんご」をクレヨンで描いた。
その時、モチーフのりんごはそのように見えたから。
でも大人たちはりんごは赤くて丸いでしょう?と誰もが注意した。

「心で見て感じたもの」が常識や現実と食い違うと否定されてしまう。
でも僕には「黒くて四角に見えた」  そのことが大人になった今でもずっと引っかかっていて、
子供達はどのような絵を描いてるのだろうと興味津々なんです。

上の写真の絵、どんな人が描いたと思いますか?   
「今井俊満」という画家が死ぬ間際の72歳(2001年)の時に描いた「パラパラ」という作品です。
渋谷の「コギャル」がモデルだそうです。
なんとエネルギッシュで純粋で素敵なんだろうと思います。

版画家の棟方志功は尊敬するふるさとの寺の老住職から、
「おまえの絵はヘタだ!わしの孫の絵よりヘタクソだ!」と言われ、嬉しくて嬉しくて涙を流したと聞きます。
無垢な子供よりももっと邪気のない純粋な心が伝わったのだと感じたようです。

建築もある意味、心をピュアにして考えないと色々なモノに負けてしまいます。
何事にも抵抗して踏ん張る必要はないのかもしれないけれど、
心と瞳だけはいくつになってもキラキラと輝いていたいと思います。

そして建築に純粋でありたいと思います。


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