2011年1月26日水曜日

1枚の版画





昨日はカメラマンによる「櫻山居」の撮影の日でした。

撮影した写真はまた出来上がり次第掲載することにして
玄関土間の朱錆色した珪藻土の壁に、どうしてもお母様の妹さんで
スイス在住の版画家「宮本博美」氏のリトグラフを飾って撮影したかったのです。

昨年、設計打合わせに西宮のご自宅を伺った折、リビングに飾られていた
この版画に圧倒的な存在感とパワーを感じました。
女性が制作したとは思えない、力強さとエネルギーが部屋中に溢れていました。

そこでこの絵に相応しい土間壁の仕上げを考えたのです。
それがワラスサ入りの朱錆色の珪藻土です。
そしてこの絵と対峙する土間の南側には、版築が独特の存在感を醸し出しています。

夜、その日の撮影が終了し帰ろうとした時、お母様から思わぬお申し出がありました。
それは「櫻山居」を設計したお礼にこの版画を僕に譲りたいという
驚くようなお話だったのです。いつの頃からかそう決めておられたそうで
涙がこぼれるほど嬉しいお言葉でした。
ご身内の作品を頂くことになって、なんだか「Kさんご一家」とご親戚になったような
親近感と設計した建物へのご家族の信頼をとても感じました。
そしてこの作品は事務所の一番眺めのよい場所に飾られ、
日々僕達を見守ってくれることになります。
櫻山居は色々な人々との出会いが積み重なって出来上がった住宅です。
いつかその事を何かに書き留めたいと思っています。
撮影の日、天候はめまぐるしく変化しました。ダイニングのピクチャーウインドウから見える
瀬戸内の海。島影の奥に薄っすらと「屋島」が見えています。
カメラマンはもう一日残って撮影出来なかったアングルを撮り直したそうですが、
どうも納得が行かないので、日を改めて撮影に行きますと先程連絡がありました。

初めてダイニングの「ボーゲンポールキッチン」を紹介します。
カウンターテーブルまでセットになっていて長さ約4mあります。
このキッチンを中心にして、設計の考え方が計画されていきました。
キッチンにセットされているエスプレッソマシンでいただく飲み物は最高に美味しい!
夕闇迫る櫻山居の佇まい。外部からダイニングをカメラマンが撮影中です。






1 件のコメント:

  1. 東部淳一建築設計室/東部淳一です。
    竣工おめでとうございます。
    こころより。

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