2010年11月3日水曜日

赤とんぼの町へ




数日前、兵庫県の「たつの」で住宅を計画されている方の敷地調査へ出かけた。
「たつの」といえば童謡「あかとんぼ」の作詞者三木露風の生誕地として有名だが、
播磨の小京都と言われるくらい、風情がある街並みや史跡がある。初めて訪れる町だ。

ただ今回は敷地調査が目的で、のんびりと散策する間もなかったので
機会をあらためてその辺りの事は書こうと思う。

基本的に初めて訪れる場所は、よほどの事がない限り公共の交通機関を使うことにしている。
その方が目的地に着くまで色々なことを観察できるからである。

例えば地元の人たちの声や雰囲気、街並みや自然の豊かさのチェックなど
数えたらきりが無い程だが、それが建物の計画を考えていく際
大きなヒントになったりする。

Googleで調べてみると計画地は駅から直線で2キロちょっと。
まあ歩いても30分くらいのものだから、ブラブラと2本の足に頼ることにした。

新快速で姫路まで行き、そこから姫新線に乗り換え20分弱で「本竜野」駅に着く。
プラットホーム脇には赤とんぼをイメージする銅像が。。。。
失礼だが、なんとなくバックの寂しいし佇まいがどこかの資料館に展示してある人形みたいで
あまり風情を感じなかった。

駅舎も新しく建て替えられたのであろう今風の、利便性を追求した建物であった。
駅東口も駅前で宅地分譲をしていて、そんな駅前に住宅地でなくても。。。何か違うぞ!と
思ってしまった。駅西口も同様で、再開発のため風情のある街並みは何処かへ消え、
ハウスメーカーのアパートやマンションばかりになっていてちょっと悲しい。
しかし、側溝のコンクリート製蓋やマンホールには赤とんぼがリズミカルに描かれていて
ちょっと嬉しくなった。
歩道橋の名前も赤とんぼと書いてあったが、林田川の土手沿いなのでトンボが多いのだろうか。
30分程歩いて計画地にたどり着いたが、周辺は小さな集落と小高い山、
田んぼや畑が広がるのどかな場所だ。
山の中腹にある巨石がとても気になった。しかし、こんな広い場所に建てる住宅は
何をキーワードにしたらよいのか。。。周辺で気になるのはこの山だ。
紅葉する樹木がどれだけあるのか?田植えの時期は青々するのか。。。。。。
陽当りは良いが敷地南側に走るバイパスの騒音をどうするのかなど、迷うことばかりである。

来る途中、畦道の両脇に立つ石灯篭が気になっていた。
この路地の奥くはどんな佇まいになっているのだろう?と好奇心がふつふつ湧き上がる。
元々参道らしきものがあった場所を分断するように国道が出来たようだ。
ズンズン中へ入って行くと、小さな社へ出た。

奉納品に龍の錦絵と日露戦争時従軍記念野戦砲の砲弾らしきものが飾られている。
地元の人でないとわからない何かがあるのであろう。
今週末にそのクライアントの方と顔合わせがあるのだが、
性格の不一致的な結末にはしたくないので、しっかりとした下調べをしなくては。
行き帰りの電車内で読んだ益子義弘氏の「住風景を創る」という本が、
忘れかけていた住宅を作るささやかな喜びを思い起こさせてくれました。







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