2010年9月23日木曜日

デザインの方向性



渦森台の家は明日、引越しを迎えます。

日程が非常にタイトでしたので、引渡し前の最終検査が前日になってしまいました。

リペアされたダイニングテーブルを前に、工務店の社長と二人で考え込んでるわけではありません。

施主様ご家族からはよい意味で、新しい家の匂いがしないと言われました。
なにかホッとするような落ち着く雰囲気で、木と漆喰をふんだんに使った内装を
とても気に入っていただきました。
スタジオクランツォに設計を依頼して本当に良かったと仰っていただき、
いつも以上に嬉しく思いました。

南側にアルミサッシの連窓があり、そのアルミの格子窓が部屋から見えるのが
あまり好きではないのでなんとかして欲しいというのがリクエストでした。


そこでサッシのフレームを隠しつつ、防犯も兼ねて内障子の格子桟をデザインしました。
材料は米杉です。煮亜麻仁油で拭取り仕上げをしています。

設えの家具類がアンティークな雰囲気なのでそれに合わせ、
ちょっとノスタルジックなデザインにしてあります。
そういったデザインが新築らしくないのかも知れません。
窓の外の濡れ縁はセランガンバツの板材に、雨に強い「桐油」を塗っています。
「桐油」は古くから番傘の防水などに使われる植物油です。
こちらはリビングダイニングと寝室を間仕切るオーダーの飾り本棚。
材料は米杉の柾目です。左がリビング側から見たところ。
右の写真は寝室側からですが、ベッドの少し上くらいに目覚ましなどを置けるスペースと
寝る前ちょっと読みたい本などを置く場所を作ったり、奥行きを変化させたりして
寝室が本棚の裏という印象にならないよう配慮しています。
また柾目が美しい米杉の化粧板を背板に使って、すっきりとしたデザインに仕上てあり、
非常に美しく納まっています。
寝室への出入り口となる4枚引き違い戸。材料はウォールナットで
煮亜麻仁油の拭取り仕上げです。寝室の手前の部屋は将来子供部屋になります。
本棚とこの建具を取り外すと、真ん中の柱を残して完全なワンルームにすることができます。
将来的に家族の変化に合わせ、部屋を色々な大きさに変化させて使うことが出来るよう
考慮してあります。
今回初めて本格的に自然素材や材料、植物油などを使った空間をデザインしましたが
工事の始まりから竣工まで、ある意味現場臭いといったらよいのか、石油精製品や
人工的な材料の臭いを感じませんでした。
いつもシンナー系の臭いで喉がおかしくなって困っていたのですが、
そのようなことがまったく無い気持ちのよい現場でした。いい意味でショックでした。
牛窓の「櫻山居」をも含め、これから先のデザインの方向性を
暗示する出来事であるような気がします。











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