2010年9月5日日曜日

床用オイル



今工事を進めている「渦森の家」では
可能な限り自然素材を使いたいという施主のリクエストがあり、
床、壁、天井材に予算の許せる範囲で自然素材を選択している。
例えば床はナラ、ウォールナット、などの無垢板(1枚板ではやはりネジレ、反りが出るため
1800ミリの間に数枚継ぎ足す「ユニ」という仕上のもの 。 メーカーの床暖房対応品であること)
壁、天井は漆喰仕上げ(材料はすべて自然由来のもの)他にも桐材(床、棚板)などなど。
床材は当初の計画では床暖房はしない予定だったが、
今回1階に移り住むということで、現在使用されているオイルヒーターでは
暖房がちょっと頼りないであろうという事で、ガス温水床暖房を採用することになった。
しかし、無垢材で床暖房に対応できる材料となるとなかなか無い。
メーカーサイドも殆どが工場塗装しているものでないと出荷してくれない
施主からは「出来るだけ石油化学製品が混入していない塗料をお願いします」と言われているし、
そうなると植物種子から摘出したオイルベースのものがよいのだろうか?

左から亜麻仁油、煮亜麻仁油(ボイル油)、桐油、エゴマ油、柿渋。(柿渋以外すべて山桂産業商品)
それぞれ植物の種子から絞り取ったオイルです。
このうちの柿渋(無臭処理したもの)は、木地に浸み込み、タンニンが空気と触れることで
発色するもの。時が経過すると少しずつ濃くなるそうだ。油のような表面保護が主目的ではない。
色々調べてみたが、本当に何がベストなのかわからない。
そこで瓶のラベルにあった「山桂産業」という油問屋さんに電話をかけて
お話を聞いてみようと思った。
電話してみたらいきなり社長である山口さんが電話口に出られ、
会社にお伺いしてお話を聞きたいと無謀にもお願いしてみたら
快く了解していただいた。
創業六十有余年、大阪の北船場、道修町にある油問屋「山桂産業」さん。
入口が暗いのは商品保護用のUVカットフィルムを貼っているため。
以前デザインした「北浜プライマリーワン」の近所にあります。
いやあ、事務所にお伺いしてその取り扱う油の種類の多さにびっくり。
大阪で取り扱う油はほとんどここにあるそうだ。
植物油、芳香油、油脂製品、動物油脂、蝋、アルコール石油製品シリコン等
それぞれの分類の中にたくさんのオイル、蝋などがあり、非常に興味深い。
油の話はあまりにも面白いので、あらためて別の機会に書かせていただきたい。
メチャクチャ奥が深いです。
木用のオイルについてお話を伺ったのだが、木の種類によって使うオイルも違うらしい。
囲碁盤などは「椿油」がよくて、蕎麦を打つ棒や台には「くるみ油」を使うらしい。
ヒバ油というのもあって、霧吹きなどに入れて土台に吹くとシロアリなどの防虫効果もあるそうだ。
肝心の住宅用油だが、基本は空気に触れると樹脂化する乾性油と呼ばれる種類を使う。
その中で室内使用であれば「和材ならエゴマ油、洋材なら亜麻仁油系」がお奨めだそうだ。
うーんなかなか難しい。しかし、これだけオイルフィニッシュにこだわった住宅は
当事務所では無かったので、よい勉強になります。
油にはそれぞれ独特の香りや色があるので次回打合せの際、
試し塗りをして香りを確認していただこう。
山口社長、貴重な時間有難うございます。
今度地下に保存されているあらゆる種類の油を是非見学させてください。

0 件のコメント:

コメントを投稿