2010年4月18日日曜日

自然の中の住い


二日程前、地鎮祭が行われる敷地を訪れた。

あいにくの小雨ではあったものの、傘が必要な程でもなかった。
全国的に寒い日で空気は凛として冷たく、地鎮祭には身の引き締まる好日だった。

夏の暑い日や冬枯れの時期に敷地を見に来たことはあったものの
春の息吹を感じる季節にこの場所を訪れれてみて、そのフィールドの良さに本当に驚き、
つくづく自然の中に建つ家なのだなとあらためて思った。

幹線道路から分岐し、ソメイヨシノとヤマツツジの小さな並木を抜けると計画地が現れる。
地元の工務店さんが用意してくれてた駐車スペースに車を止め外へ出てみると、
あちらこちらからウグイスの鳴き声がサラウンドのように聞こえてくる。
まだ鳴き方が上手くない若いウグイスもいるが、澄んだ美しい声を響かせるものもいる。
いったいどれくらいのウグイスが木立の中にいるのだろうか?

その合間に凛とした空気を震わせるように大声でキジが鳴く。
斜面をゆったりと歩くその姿も見える。
敷地に立つと幾種類もの鳥達が美声を響かせながら新緑の木々を渡っていく。

懐かしい、どこかで見たことのある風景だなあと考えてみたら、
バリ島ウブド村近郊の、アユン川沿いのコテージテラスから、朝方谷あいを眺めていると
川から山へ鳥達がさえずりながら移動していく、天国のような風景と同じものだった。

傾斜地の上手にはヤマザクラが群生している。  敷地にもあるヤマザクラ。
この土地の守り神みたいな樹木だ。地元の人によれば毎年ソメイヨシノが先に咲き
ヤマザクラはその後に咲くそうだが、今年はそれが逆転したそうで花はもう散ったらしい。

敷地の南側には40~50m先まで荒地が広がるのだが、その土地の持ち主の方と
お話をさせていただき、雑草やブッシュを撤去する承認を得た。
雑木林が広がる南端あたりに止まり木と餌場、水飲み場を作ってあげたら
どれだけの鳥達が訪れるのだろう?

2階のテラスに双眼鏡設置したら、凄いバードウォッチングが出来ますねえと
ちょっと羨ましげに施主さんに言葉をかけた。
この道の先には数件しか建物がないので、道を行きかう人はほとんどいない。
建物からも他の人家は見えない。
住宅設計も自然を楽しむ、自然と共に暮らす家を目指して計画した。

この土地に建物が馴染み、自然の中に埋もれていったらいいなあと思う一日であった。

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