2009年10月1日木曜日

高価な食事


私は食事というものに対して貪欲だと思う。どんなに遠いところだろうが
不便なところだろが料理人が素晴らしい食材と培った技術を使い
丹精を込めた食べ物を提供している店に行くことに労を惜しまない。
ある意味それは高価な食事と言われるものかもしれない。
高価というのは値段が高いという意味ではなく
そこに費やされる食材探しの時間や料理人の長年にわたる技術や経験の
蓄積に対する評価ではないかと思う。

料理人と同じ職人気質である「設計」という仕事を生業としているからこそ
心底理解できるもので、それが決して単なる金銭的に高価な食べ物だとは思わない。
もちろん利益を追求する為に店構えを立派にしたり豪華な内装を売りにしている
高級と呼ばれる料理店もあるのは間違いない。



本来、その季節にしか捕獲又は収穫されない素晴らしい食材はことのほか少量で
当然高価になる。旬といわれるものだが、人工的肥料を使ったり季節に関係なく
収穫される食材と比べると体にとって遥かにパワーがあり、滋養もあると思う。
その食材を手間と時間をかけて調理し美しく盛り付けた料理をいただく。
それは一種の天然の薬ではないかと思う。それがすべてではないだろうが
お蔭様で私は40年以上病院で治療を受けたことがない。
多少の風邪は引くことがあっても医者にかかるような大事になったことはない。
それは食べ物のおかげだと信じている。もちろん日々そんな高価なものを
食べているわけではないし、お金も持ち合わせていない。


しかし満足度の高い食事の回数を増やすことが出来れば、精神的にも肉体的にも
豊かになり、本来人間が持っている自浄能力を発揮できるのではないかと思う。
入院したり手術したりお医者様にお世話になる頻度を少しでも軽減できることになれば
高価な食事をすることは決して無駄や浪費ではないと思う。

料理をいただくという行為の中に存在するあらゆる出来事や事象を推測し
そして味わい、その後に訪れる至福の時間を有意義に過ごす。
それを独り占めすることなく、同じ考えを持つ人と分かち合いたい。
そして料理人を囲いその食材、料理に関する薀蓄を聞きながら共有する
時間や空間を持つことこそ人生を豊かなもにするのではないだろうか。


写真は設計、店舗デザインを担当した豊中市にある「ラ メゾン ブランシュ」
南フランスの優しい料理とシェフのエスプリの効いた会話が楽しめる
上質フレンチレストラン。
    



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