2009年7月1日水曜日

VANCEVA フィルム

ヘルシンキ ヴァンター国際空港の国際線と国内線をつなぐ
渡り廊下に取り付けられたカラーガラスのフィルムです。

ストックフォルムからヘルシンキ経由で日本に帰る飛行機が
たまたまヴァンター空港の国内線ターミナルに着陸したため、
国際線出発ロビーに移動中に発見したガラス。
あまりにも美しかったので写真に撮りましたが
これが昨年夏完成した「四ツ橋プライマリーワン」の
ファサードデザインのヒントになっていくのです。


日本に戻ってカラーガラスのことを色々調べていたのですが
アメリカ製のカラーフィルムを日本のデザインガラスを扱うメーカー
(GLASS CUBE 本社富山県)が代理店をしていることがわかり、
すぐにサンプルを取り寄せました。それが下の6色ある合わせカラーガラスの写真です。
きれいな色でしょう。
合わせガラスは2枚のガラスの間にフィルムなどを挟んだもので、自動車のフロントガラスや
防犯ガラスに使用されています。
写真はカラーフィルムを挟んだものでこの6色を重ね合わせるだけでも
色々バリエーションが出来ます。
いつかどこかで設計する建物に使いたいなあと考えていました。


重ねるだけでもきれいなグラディエーションが出来ますが、色の三原色と同じ原理ですから
美しい色がどんどん出来ます。スモーキーな色を組み合わせるとこんな感じです。
北欧は「コスタボダ」など美しいガラス製品を作る会社がたくさんありますし、
オランダ、ドイツなどはカラーフィルムを使った建物があちこちにあります。
外国では見慣れているカラーガラスも国内ではあまり見かけません。
それから数ヵ月後にクライアントから四ツ橋に賃貸の集合住宅を計画している話があり
真っ先にこの合わせカラーガラスを使いたいと申し出ました。
都心の建物で周辺の景観もあり、あまり派手な色を使う訳にはいきませんので
コンセプトを考えていくうちに、都心部に緑が少ない大阪に大きなマザーツリーを
イメージした建物を提案しました。その象徴に建物の正面となる東側外壁にグリーン系の
カラーフィルムを使おうと考えたのです。
その緑の色は大阪市の木「クスノキ」の葉っぱをデジタル分解し、
幾つかの色違いのグリーンのグループを作りました。
下の左の写真はベースとなるグリーンの色を作るため、色違いのフィルムを
何回も重ね合わせイメージに一番近い色を作っています。
右の写真は最終的に出来たフィルムを挟んだガラスです。(下3枚)
このカラーガラスを集合住宅のバルコニー手摺りすべてに嵌め込みました。
それが「四ツ橋プライマーワン」です。このカラーガラスの配列は
植物の成長や葉の付き方によく現れる「フィボナッチ数列」を使っています。
そうすることでより自然な木のイメージを表現しようとしたのです。
また朝日があたる東側のバルコニーに使うことで緑の光が
室内にも入ってきます。ところどころ茶色い色のガラスが入っていますが
これは木の枝をイメージしたガラスです。
最上階のメゾネットには青空をイメージしたスカイブルーのガラスを使ってます。
中から見るとこんなに濃い色には見えません。


「四ツ橋プライマリーワン」

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