僕は「鉄」という素材が好きです。
勿論、無垢の木材・焼杉・土・石・ガラスなども大好きですが、
特に「鉄」は加工の仕方によって、時に凄い存在感を醸し出します。
いくつかの完成した住宅でもこの「鉄」という素材を使いました。
しかし圧倒的に多いのは集合住宅です。
特に共有空間は住宅と違いボリュームがありますので
その存在感が一段と際立ちます。
その中でも、リン酸処理したものや、コールテン鋼などと呼ばれる
耐候性鋼板が気に入ってます。
こちらは大阪天満宮の真ん前に今年完成した集合住宅のエントランス。
「うだつ」をイメージしてデザインした「溶融亜鉛メッキ・リン酸処理」の
スチールパネルです。
後ろの扉もそうですが、リン酸処理してみないと
どんな模様になるか誰も見当がつきません。
なので、時としてその模様がクレームとなることもあるそうです。
こいつは本当に「曲者」ですが、そこが僕は大好きです。
ただの錆びてボロボロになる鉄ではありません。
自分で皮膜を作り、錆びの進行を止めます。
(安定するまで半年ほどかかります)
その錆びの出具合がこれまた存在感があるんですよね。
アトリエの庭にもサンプルを野ざらしにしてどのように変化するのか
チェックしてます。もう2年以上経つので、ほとんど変化はありませんが。
写真は集合住宅の玄関なので、その錆びた状態に薬品処理をして
安定させ入居者に汚れがつかないようにしてます。
2年ほど前に完成した「記憶の家」では、何にも処理していない
耐候性鋼板を塀代わりに使いましたが、とても味のある仕上がりでした。
そして最近気に入っているのが、この耐候性鋼板にリン酸処理を施したもの。
こいつもなかなか個性的ですが、流れ模様が面白いです。
今年8月に完成した「抱きしめられる家」のインナーガレージの扉と
建物に取り込む光と風の量を調整する目隠しパネル用に制作しました。
来週、22日に地鎮祭を迎える「扇町公園プライマリーワン」の
エントランス廻りに新たなアレンジを加えて使います。
完成は平成27年2月ですから、ずっと先ですが面白いデザインに
なると思いますよ。
やはり、素材と格闘しながら何かを作り出すのはとても楽しいですね。
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