2013年5月7日火曜日

「新たな京都時間の佇まい」



昨年からお話を頂きずっと計画を温めてきた京都市左京区のN邸。
今月下旬、設計契約をする事になりました。

昨年の晩秋「ノムラモミジ」というタイトルでブログに書いたお住まいです。


















紅葉が盛りを過ぎたある日、計画地にある既存のお住まいを拝見させて頂いた。
そこにはこの家が守り続けなければならない「しきたり」や、比叡の山から吹き寄せる
気の流れ、時間の経過を刻む鞍馬石たち、美しく艶やかに佇む真紅に紅葉した
ノムラモミジ、大工の手仕事の痕跡など、凝縮された「京都時間」がそこかしこに
存在していた。
私にはそのような伝統や歴史、風習などをありのまま引き継いで、住まいを作ることは
経験不足で不可能に思えた。けれど「一つ一つの際立つ気配」を感ずることは出来る。
それぞれの存在と対話し明確な答えを導き出しながら、新しい居場所を作り出すことは
出来るかもしれない。
そこにある見渡す風景は錦絵のように一見「あでやか」だが、それぞれの気配は静かで
声高に主張せず、こちらの力量が試されているようにも見える。

いっそのこと「空間」はあれこれ手を加えず、シンプルに色をつけないでおこう。
生活感を消し去り、歴史や伝統に立ちはだかるのではなく「柳に風」、飄々と
それぞれに現代的解釈をしてみよう。
ミニマムで色艶を消し去った空間に、歴史と存在感のある過去からの贈り物を
そっと置いてみたいと思う。
切り取った空間のそこここに、アートやオブジェのように「歴史の重み」を配置し
静かに眺め、思いを馳せる。
しかし、それらは自分達からこちらに忍び寄るのではなく、静かに、ただ静かに
歴史を刻み続ける。

現代的な解釈で得た組み合わせや素材、余分なものを削ぎ取った空間に
光、歴史や伝統といった時間の経過が重なり合うことで「新たな京都時間の空間」を
作り出してくれるのではないだろうか。(設計コンセプトより抜粋)


























CG制作 STUDIO CURANZIO










0 件のコメント:

コメントを投稿