2011年1月9日日曜日

タイル検品(2)









タイル検品の続きですが、前回説明したものは均一の表情を作るものでした。

今回私が織部製陶さんにお願いしたタイルは、1枚1枚が手作りで同じ表情がないものでした。
その手作りの制作過程を見せていただきました。
写真は別の注文品ですが、制作方法は同じですので撮影させていただきました。


作業台の上の黄色い粉は一見カレー粉に見えますが「弁柄」だそうです。
弁柄は2種類あるそうで、この黄色と他によく見かける「赤褐色」があります。
元々「弁柄」はインドのベンガル地方から輸入していた、酸化鉄のことを指していたらしいので
カレー粉というのもなんとなく遠くはないような気もするが!?

スパイスの匂いは残念ながらありません。
窯に入れるとこの黄色は褐色に変化して味のあるいい色になるそうです。 

この石が食い込んだレンガみたいなものは、タイルの表面に模様をつける道具。
織部さんのこのような道具は職人さんらのすべて手作りだそうです。

写真は半乾きのタイル素材を、上の写真の型で押えた後、
ワイヤーブラシのもっと硬そうな道具で表面を汚しているところ。
その後、表面を削りこの弁柄の中に入れしっかり顔料を塗します。

下の写真は塗し終えたもの、いい表情しているでしょう?

下の写真は今回検品にきた「京橋プライマリーワン」の完成製品
左下がサンプルで、大きい方が検査用にランダムに製品の抜き取りをして並べたもの。

一枚一枚違う表情をしているのがわかりますか?
その下の写真も、今回の現場で使用するフランス積みの目透しレンガの検査製品です。

「織部製陶」さんは日本の著名な建築家の作品にも数多く関わられていらっしゃるそうで
試作品、別注製品がところ狭しとならんでます。

因みに木型はフランク・ロイド・ライト設計、帝国ホテルの型だそうで
タイルは当時の本物だそうです。

製品の数々を眺めていると、建築家とタイルが格闘したというか、納得がいかず何回もダメだしをしたような
痕跡を肌で感じます。つい最近亡くなられた建築家「渡辺明」氏の最後の作品となった竹をモチーフにした
タイルも見せていただきました。タイルというよりも織部焼の陶芸作品のような迫力がありました。
今回は16世紀頃から日本を代表する陶器の産地である、多治見を訪れることが出来
実り多い一日となりました
もう一度、今度はゆっくりとこの周辺の街々を尋ね歩きたい。そう感じる有意義な一日でした。







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