2015年5月30日土曜日

クチナシの匂い



アトリエの庭の端にある小さな生垣は
クチナシの花が満開になっている。
今年は特に花の量が多い。




















白い、派手ではないが上品な花だ。
昨夜、帰り際に若いスタッフと生垣の前を通った瞬間、
ふあっと、熱帯の甘い、濃厚な匂いがした。
「わーっ何の香りですか?いい匂い」とスタッフは呟いた。

若い人たちは「クチナシ」という花を知らない人が多いのかもしれない。
わがアトリエのスタッフも知らなかった。
初夏、白い花とこの香りをしらなければ
ただの青々とした葉の常緑樹だ。

クチナシはこの建物が出来上がる時、
僕が指定して植えて貰った。
勿論、香りがよいことを承知して。















今までインドネシア バリ島へよく通っていた。
喧騒を離れ、山間の小さなラグジュアリーホテルに泊まることが多かったのだが、
ロビーにはこのクチナシの香りによく似た花、「チューベローズ」日本名(月下香)が
毎日、大きな束で活けられていた。
この花は夜になると増々香りが強くなるという特徴がある。
だから夜、近所の寺でバリの民族舞踊「レゴン」や「ケチャ」などを鑑賞した後
ホテルへ帰ってくると、このチューベローズの香りに包まれる。
それは記憶の根底にガムランの音と共にしっかりと沁み込んでいる。

「チューベローズ」  google検索より転載



















クチナシの香りが粘膜を刺激した瞬間、心は遥か彼方へ飛行し始めていた。

高松のクライアントの奥様から、アジアンリゾートの雰囲気が好きなので
インテリアのどこかに表現して欲しいとリクエストがあった。
チューベローズは育てるのが難しいだろうから、
このクチナシを目立たない風通しのよい露地に植えれば
この季節どこからともなく、熱帯の魅力的な香りが室内に漂ってくるだろう。

次回はこの事をお話してみよう。

クチナシの花を1つ摘んできた。
パソコンの横に何気なく置いているだけだが、
たまらなく良い香りがこの辺りに充満している。
ブログを書きながら、頭の中にはガムランの音が響き渡っている。。。


2015年5月26日火曜日

高松クレーター五座



日曜日に高松市へファーストプレゼンに伺いました。

スタッフの一人が体調を崩してしまい、
プレゼン用の資料作成が遅れました。
クライアントのⅠさんご夫妻にはご迷惑をおかけしてしまいました。

高松へ伺う前日の夜遅くまで、模型製作をしておりましたが、
何とか間に合ってプレゼンをさせて頂きました。

コンセプトはまだお話しできませんが、
心地よい風が吹き抜ける住まいを提案させて頂きました。

計画地は高松市の中心部から琴電に乗車して20分ほどのところ。
付近にはいくつものおにぎり形の山がいくつもあります。
「高松 クレーター五座」と呼ぶらしいのですが、
古代、この辺りに大きな火山があり、その火口の跡であるカルデラ説と
巨大隕石が落下して出来たクレーターの名残り説があるそうで、
いまだ解明はされてないようですが、
直径8㎞、最大深度千数百mのお椀型のくぼ地が直下にあるそうで
なんだかミステリアスでワクワクする話です。
そのお話もコンセプトとデザインに引用させて頂きました。















私が撮影した写真ではありませんが、ちょっと拝借させて頂きました。
この方向以外にも同じような形をした小さな山がポツポツあります。
一番美しい形をした山は「讃岐富士」と呼ばれているようです。

肝心のプレゼンはとても気に入って頂きました。
これから来年11月末くらいまでは頻繁に高松へ通うことになりそうです。

残念ながら、なかなか讃岐うどんを食べる時間が無くて
このプロジェクトで伺ってからはまだ一度も口にしていません。
計画地は讃岐うどん発祥の地だそうです。

まだこの街をゆっくりと散策はしておりませんが、
機会を作って、あちこち出掛けてみたいと思います。
何かとても穏やかで気持ちのよい街です。

「Ⅰ」さんこれからも宜しくお願い致します。

2015年5月18日月曜日

奈良プロジェクト



先日のブログの最後に書いた
ある海外のクライアントとのプロジェクト、
本日仮契約を終えました。

外国の方が施主というのは初めての経験ですが、
通訳を挟んでやり取りすることは
結構エネルギーが必要です。

しかし、今回のクライアントは自身が自国の大学で
都市計画を学ばれており、ある程度図面を見て
説明内容を理解できる方なのである意味楽な方です。
逆に言えば彼もプロなので、いい加減なことは出来ません。

先日のイタリア人CGクリエーター「マッシモ」がメールをくれた同じ日
僕に会いたいと通訳を通して電話がかかってきたのですが、
お会いしてみると、非常に高度な知識を持たれており、
自国では大規模な集合住宅の開発などを手掛けておられたようです。
そんな彼がなぜ僕を指名したのか「マッシモ」の時と同じように疑問でした。

何故僕を選んだのか?率直に尋ねてみました。
不思議なことに「マッシモ」と同じ答えが返ってきました。
ウエブサイトで僕を見つけ、今まで作ってきた建物がとても好きだったから。。。

その言葉を聞いた時、心の中からとても嬉しく思いました。
自分が作ってきたものが、文化も風習も違う国の方々に認められた嬉しさです。
それもある意味プロと呼ばれる方々です。

ただ喜んでばかりはいられません。文化・風習が違うからこそ、
基本的なことをしっかり守らなければ、トラブルになりかねません。
まずは奈良市のある場所で小規模な宿泊施設を計画します。




















この池の近くでのプロジェクトです。















なんとか成功させて、次のプロジェクトにつなげて行きたいと思っております。

また数日前、ドイツのウエブサイトに名古屋の「抱きしめられる家」の記事が
掲載されました。
今年は少しインターナショナルな出来事があるかも知れません。



2015年5月9日土曜日

1通のメール



2週間程前、一人のイタリア人からメールが届いた。

イタリアでCGを作っていたのだが、
彼には日本人の奥様とお子さんがいて、
1年前から大阪に住むことになった。
働かなければならないけど、
出来ればCG制作を職業にしたいので、
いくつかの設計事務所にコンタクトを取ったのだそうだ。

そのうちの一つが僕のアトリエだった。















突然のメールで驚いた。
プロフィールもシエナで生まれ、フィレンツェ大学へ通い
ヴェネチア建築大学でも教鞭をとっている。
イタリア、スペイン、英語と片言の日本語が出来ますと書いてあった。
またCGの会社を立ち上げ、そのCEOを務めてたようだ。
彼がイタリアでやってきた仕事は
世界的に著名な建築家のプロジェクトCGばかりで
僕の仕事とはスケールも内容も桁外れで大きい仕事だった。
一体どうやって僕のことを知ったのだろう?と不思議だった。
そして、何故僕?。。。。わからないことだらけだった。

とりあえず、僕のアトリエは小さな事務所で、
とても貴殿を雇えるほどを余裕はないという返答を
スペイン語が多少できるスタッフが送った。
ただし、雇えないけれど、もしよかったらアトリエに遊びに来ませんか?と
付け加えた。
残念ながら、僕はもうイタリア語もほとんど忘れてしまっている。

数日後、彼からアトリエに伺いたいという
スペイン語のメールが返ってきた。
それじゃあ、土曜日の早い時間だったらいいよということで
今日その彼、「マッシモ チアーニ」がやってきた。















会った瞬間、昔から知り合いのような、何か懐かしさを感じた。
ちょっとずつ話をしていくと、彼の謙虚さや優しさが
どこか日本人に似ている。
誰かに雰囲気が似てるなあと考えていたら、
僕の事務所でグラフィックやアートデレクションをやってくれてた
ボスニアヘルツゴビナ出身の「S」君によく似ている。
彼も祖国から国費でシエナの芸術大学に留学していた。

「シエナ」つながりか。。。。

シエナは僕も何度か行ったことがあるし、彼はフィレンツェ大学だ。
そして彼も僕も食べることが大好き。
シエナ名物のパスタ「ピチ」の話で盛り上がった。
何か「縁」があるのかもと思っていた矢先、
あるクライアントから電話がかかってきた。
西宮北口で計画中のプロジェクトの土地取得が今日終わって
プロジェクトをスタートしたいという連絡だった。
集合住宅を建てる計画なので、当然CGが必要になる。
すかさず、彼のことを話してCG制作を手伝ってもらう承認を得た。

お断りするつもりだった彼との「縁」が色々な出来事の重なり合いで
カタチになりそうだ。こんな嬉しいことはない。
これから長い付き合いになるかもしれない。。

不思議なことにマッシモがメールを送ってくれたその日、
ある海外向けの不動産取引会社の担当者から、
「外国の方が僕のウエブサイトを自国で見て、面会したいといっているのですが、
近日中に会って頂けませんか?」と電話があった。
随分とインターナショナルな日だった。
スケジュールの空いている日を伝えると、
その日に合わせ来日された。

その話はまた後日ブログにじっくりと書きましょう。

2015年5月3日日曜日

久しぶりの西天満 松弥




新しい集合住宅の打合せも兼ねて、久しぶりに西天満「松弥」へ伺いました。

何年もこの料理屋さんに食事に来てますが、同じ食材を使っても同じ料理は
出てくることはありません。
毎年その月ごとのテーマとなる食材はおおよそ決まっていますが、
調理方法や食材の組み合わせが毎回変わります。

今夜は泉州の筍と舞鶴のとり貝が料理の中心です。

まずは鯛の子と蕗、そして花山椒。















全部食べた後の器の底には美しい文様が描かれてました。















それからアオサに雲丹を混ぜたものを蒸し鮑にかけたもの。
春の磯の香りがします。















珍しくお造りが出ました。
肉厚の鰈とクルマエビをサッと炙ったもの。
鰈の肝の刺身。クセがなく天然モノ独特の風味があります。















舞鶴のトリ貝。まだはしりなので小ぶりですが
腸にしっかり脂があります。これを炭火で炙りながら
つけ焼きにします。















筍も炭火で炙りながらつけ焼きに。
トリ貝の腸、本当に美味しいです。
多くの料理屋さんが捨ててしまう部位なんですが、
トリ貝はここが一番美味しいです。





























ノビルと筍の酢味噌和え。厳選された食材だからこそ
クセのない素材そのものの味が生きます。
ノビルは能勢の山に大将自ら採りに行かれます。
写真にはありませんが、一緒に採ってきたタラの芽や
コシアブラなどの山菜と筍、アブラメの鍋も滋養がありました。















〆は鳥取産有機栽培のお米を土鍋で炊いて
削り出した鰹節をすり潰して筍と和えたもの、
四万十川の鮴醤油炊き、自家製のしば漬け、
素朴な素材がこんなにも美味しいことを
実感した夜でした。
今夜も御馳走様でした。

新しい集合住宅のコンセプトもまとまってきたので
これから具体的なイメージ作りの作業に入っていきます。