2014年12月30日火曜日

完成「新たな京都時間の佇まい」



平成24年の秋、京都市にお住まいのお客様から
設計の依頼がありました。
平成23年に設計・監理したフルスケルトンリノベーション住宅
「BW-H」の竣工写真をご覧頂いての依頼でした。

その時はこの建物の敷地にはお母様がお住まいになられており、
近所でお住まいの既存住宅のリノベーションの依頼でした。

しかし、ご依頼の内容はリノベーションすることでクリアできる
ボリュームではありませんでした。
そこで、建て替えや新しい土地を探すなど、色々検討をして頂いた結果、
お母様が住んでらっしゃった敷地に新しく住まいを作り、
リノベーション予定だった既存の住宅にお母様に住んでいただくことで、
ご理解を頂くことになりました。

それから翌年の秋まで、施主と設計の格闘が始まりました。
私は施主の強い思いに突き動かされるように計画を検討し、
打合せの度、プランの訂正、構造の変更など、
互いの思いをぶつけ合いながらプランをまとめていきました。

結局施工期間は当時の諸事情(消費税絡みの職人、材料不足等)もあり
14ヶ月程かかりました。

禁欲的な外観。














耐候性鋼板リン酸処理の玄関ドアへと
フロアライトが誘います。


















玄関ホールから、中庭、奥庭、地階への開口。













リビングと空中歩廊。水回りと居室をつなぎます。





























ショールームのようなキッチン


























空間に表情を作る空中歩廊。
















日当たりのよい地階から上階を見上げる。


















引越しが終了した先日、お施主様と二人で食事をする機会がありました。
開口一番「あまりにも快適すぎて、家族全員本当に満足してます。」と
有難いお言葉を頂きました。
奥様とお嬢様は試験が終わってから引越しをされる予定だったのですが、
お母様がよい日に家族全員で一日仮住まいをするように仰られ、
一晩過ごしてみたところ、居心地が良過ぎてもう今までの旧家に帰れず、
そのまま生活を始められたというエピソードをお話くださいました。

建築写真家による一通りの撮影は済みましたが、
ただ一つ中庭に植えてある「アカシデ」が落葉樹のため
葉が無い状態で撮影しましたので、新芽と花が咲く春に
もう一度撮影予定を組んでます。

2014年12月24日水曜日

西日を避ける。



和歌山県新宮市で設計監理している「ゆらぎの情景」。
22日検査機関による完了検査でした。
勿論、何事もなく終了。
まだ、外構工事や細かい部分の手直し等はあるものの
12月完成の住宅が3棟目となりました。

新宮市は本州というよりもどちらかといえば
南九州のような強い日差しが特徴的です。
ブーゲンビリアやハイビスカスなど亜熱帯の植物が
露地で開花します。

この建物でも南西から北西方向の壁面は夏の直射日光を避けるため
開口部をあまり設けていません。
あるとしても写真のように北西から北方向に45度開口を振っています。
とにかく、西に窓を向けないようにするということも大事な要望の一つでした。
建物から南東に数百メートル離れたところには黒潮が流れています。
そして、美しい海と建物の間には熊野古道が横切っており、
いにしえ人の熊野詣に思いを馳せることも出来ます。
海風が吹くと王子が浜に打ち寄せる波の音が、
この住まいまで聞こえてきます。
無論、リビング、ダイニング、各個室からはこの海を眺めることが出来ます。
素晴らしいロケーションです。
                                         













師走とはいえ暖かそうな空気が伝わってきます。
北側の穏やかな光が差し込むリズミカルな開口。
室内側は漆喰の左官仕上げですので、
優しい光が2階廊下を包み込みます。














年内に手直し等済ませ、引越しは年明け早々。
外構工事は住みながら考えましょうか。
さて、竣工写真はいつのタイミングで撮影するか
カメラマンとの打合せが重要ですね。。。。



2014年12月18日木曜日

ハイダウェイ(大人の隠れ家)



本日、2ヶ月ほどご無沙汰していたお客様のご自宅へ伺いました。
少し郊外にあるこの辺りはやはり気温も低め。
電車に乗って目的地に近づくにつれ積雪も増えていきます。

私鉄の小さな駅を降りるとボタン雪が降り始め、
すぐにコートが白くなってしまいました。
金沢に8年程暮らしたことがあり、雪はそれほど嫌悪感はありません。
むしろ雪が降り出すと、風が止み寒さも和らぐような気がして、
自分も回りも次第に白くなっていくことに、少し嬉しさを覚えました。

充分に暖められた居間に案内されて、
ふと庭を見ると美しい風景がそこにありました。
この数年、お客様のお住まいに伺っていますが、
雪化粧の庭を見たのは意外にも初めてでした。
かなり広い日本庭園ですが、緑の季節に見るよりも
雪化粧の庭園はより一層広く見えました。

回りの境界と区別がつかなくなるからでしょうか、
雪は音を吸収し無音にしてくれるからか、
無彩色の風景がずっと奥のほうまで広がっているような気になります。














いつだったか、このお住まいの裏庭にあるモミジ巨木の下で休息している時、
頭上をたくさんのメジロたちが枝を渡っていく姿を目にしました。
緑の葉のモミジに黄緑色のメジロ達が鳴きながら渡る姿に
感動しましたが、今日の無音の雪化粧もまたとても感動しました。

ご主人は時折、庭の見えるこの場所に朝食を運んでもらい
音楽を聴きながら朝のひと時を過ごされるそうですが、
なにやら僕もどこかの「ハイダウェイ」に来た気分です。

そんなとりとめの無い話をしながら、
新しいお住まいの全体像を少しずつまとめていきます。
新しい計画では庭をもっと広くする予定ですので、
より一層豊かな気持ちになれるでしょうね。

ヒアリングにはご家族のみなさんが参加されますが
いつも思うことは、ご家族がとても「おおらか」であること。
ゆったりとした生活をされているからでしょうか、
この場所にいると私もとても穏やかで、ピュアになっていくような気がします。

2014年12月17日水曜日

レンズの向こう側



年末が近くなり、工事完成に伴う竣工写真の撮影日程が
とてもタイトになってきました。

建築写真の撮影は基本的に晴天の日になります。
いつも晴れの日とは限りませんので、
天気予報と日々睨めっことなります。
また、生活が始まった住宅ですと、お施主様のご都合もあります。
そのタイミングが中々難しいんですよね。

「新しい京都時間の佇まい」では竣工写真の撮影が始まりました。
ただ、まだ中庭の工事が完了していないことや
撮影箇所がたくさんあるので、撮影は1日では終わりません。

次の撮影はクリスマス後の晴天の日になりそうですが、
スッキリと晴れた日に上手くタイミングが合うとよいのですが。。。

青空をバックにした南側外壁の写真。
スリガラスの向こうにはバスルーム専用デッキがあります。














計画段階で作ったリビングのCGと実際の撮影写真。
それほど変化していないと思います。
それがスタジオクランツォのデザインの特徴です。
つまり、設計段階で完成形をある程度把握しているということ。
施主様との打合せも共有するイメージデザインがありますので
スムーズに流れるということです。































まだベストアングルではないので、次の撮影までに微調整します。

キッチンも壁面に46インチ程のモニター画面が組み込まれていて
最終撮影には電源を入れてもらわないと。。。良さがわかりません。














浴室はネムリ目地の鏡面ボーダータイルを使いました。
施工は相当苦労して頂いたようですが、その分やはり
仕上がりは美しいと思います。この浴槽長さ1800あります。














撮影アングルも色々検討しながら、美しい表情を探します。
地下1階の階段下から見上げたリビング入口方向。
ダークグレーの鉄骨階段、チャコールグレーの階段板材。
ダークグレー染色のウォールナット建具等
それぞれの素材が静かに主張しあってます。
この辺りに何か新しい京都らしさを表現したかったのです。。。
冬場の午後からは地階まで陽射しが伸びてきます。
「地階がこれほどまで暖かいとは思いもしなかった」と奥様の感想。



















まだまだ撮影があちこちで続きますが、
建築写真家の清水向山さん宜しくお願いします。

2014年12月9日火曜日

北欧の匂い



昨夜久しぶりに歩いた阪急百貨店のコンコース。
いつも色々なディスプレイで楽しませてくれる
ショーウインドウをじっくりと眺めました。

毎年の事ですが、本当にこの季節は何か温かい気持ちを抱かせる。
特にこんなショーウインドウを眺めているとそう思う。
大人も子供も素直に「幸福感」を味わえるのではないかな。

今年は特に忙しくて、プライベートもゆっくり出来ませんが、
合間を縫って単身者向け集合住宅のモデルルーム第2弾のディスプレイを
スタッフと1日かけて作りました。

テーマは心から温まる風景「ノルディックモダン」
早く家に帰りたくなるような部屋をデザインしてみました。

玄関先のニッチも少し温かみを出したくて
ツイードの生地を敷いて素朴な木彫りを置いてみました。
どれもメイドイン北欧ではありませんが、
優しさが伝わってくるディスプレイです。


















ソファ回りも素朴で温かい色合いのキリムのクッションを並べ
結構苦労して組み立てたイケアの家具にウッドカービング。
でもこの木彫りインド製なんですよね。
何だか北欧の匂いがして思わず買いました。。


















狭いながらもリビングとベッドルームはこんな感じで。
この季節は心温まる風景がホッとして我が家のような雰囲気に。
このまま住んでも良さそうです。
人を招きたくなるようなインテリアにしたかったんです。














生地屋さんでウールの端切れを集めてベッドを作ってみました。
イケアの小さなラグや椅子もイケてます。














冬はこんな少し素朴で心温まるインテリアが一番いいですね。
ちょっと人恋しくなるかな。


















いつまでも仕事ばかりしてないで、
今夜は早く家に帰ろうかな!

2014年12月6日土曜日

師走になってしまった!



少し無理をしたのか、ちょっと風邪を引いてしまいました。
でも熱があるわけでもなく、少し鼻声程度です。
栄養のある温かい食事をして治します。

昨日は和歌山県新宮市で工事中の「ゆらぎの情景」の現場へ。
さすがに陽射しは暖かい新宮でも、風はハンパなく冷たかったです。
この住宅も年末に完了検査を受ける予定で工事を進めています。
今の時期、色々な業種が作業していて、現場はてんてこ舞いなので
写真にしてもあまり美しくはありません。
しかし、室内のほとんどを紀州杉の板張りと漆喰の左官仕上げにしたので
部屋内の空気が清清しいです。工事に使う化学的な材料の匂いがありません。

写真はまた近々にアップします。

吹田市で進めていた「削ぎ取られた風景」は完了検査も終了し、
引渡しに向けた工事が急ピッチで行なわれています。
こちらは非日常がテーマですが、室内の壁はほとんどが塗装仕上げ。
白色系の塗装ですが、少しだけパープル色を塗料に混ぜました。
それは長さ3m、幅1.5mあるキッチンのカラーボリュームに
色合いを馴染ませるためです。
太陽光線が直接キッチンを照らすと、綺麗なパープル色です。
ライティングすると、グレイッシュパープルに見えます。
イタリアのユーロモービルというキッチンですが、
シンプルでシャープなキッチンです。
このキッチンは換気フードがありません。
天板から電動の換気扇が上がってきます。
排気は床下を通って屋外へ。
当分はゲストハウス的な使い方を予定しているので
出来るだけ生活感を出さないという約束でした。




























ですから、ラバトリーも日常使いではなく、美しく見えることが条件。
リビングからガラス越しに洗面台が見えます。
洗面部分の最後の化粧仕上げがまだ終わっていませんが、
少し楽しい仕上りなると思います。

中庭から見るリビングダイニング。
当然まだソファ等も入っていませんが、
回廊のようにガラスの開口部に沿ってデッキが敷かれ
芝生を植えた庭が完成すると、シンプルな洗練された空間が生まれます。
雨樋がないのでスッキリしたデザインです。














階段室の採光はこの天窓からのみ。
日の光が日々どのような光の造形を作ってくれるのか
とても楽しみにしています。


















夜は階段途中に取り付けられたこの照明1つだけ。
ほんのりと壁全体を照らします。
丸い斑点が壁にありますが、これはカメラの汚れです。
出来るかぎりシンプルに生活感のない住まいをデザインしてます。


















来週からは家具、オーディオ類などが搬入され
建物が完成していきます。
クリスマスまでには何とか終わるかな。。

2014年12月1日月曜日

心地よい空間



京都で完成間際のお住まいに続いて、
次は北摂にて工事中の「削ぎ取られた風景」が
12月3日竣工検査を迎えます。
まだ外構工事などは残っていますが、
12月20日頃にはすべてが完成する予定です。

現場は完了検査に向けて最終の設備機器取り付け、
火災報知機など弱電設備の調整等が行なわれています。
この住まいも一年近く工事を進めてきましたが、
その工期の半分近くは高さ4mにもなる擁壁工事でした。
クライアントの方から「大掛かりな施工ですねえ、
ここまでしなければならない工事とは想像していなかった」と
言わしめるほど大変でした。
出来上がってみると何事も無かったかのように
見えてしまうのが不思議です。

インナーテラスには大型の天窓が4台設置されています。
テラスには燦々と光が溢れ、空の青さが目に沁みます。
ここはリビングダイニングとラバトリー・岩盤浴スペース等の
緩衝地帯となっており、母屋のダイニングからも扉を全開にすると
庭の端部まで見えるように計画されています。














キッチン側からみたインナーテラス方向。
ラバトリーは全面ガラス張りです。
リビングから丸見えのラバトリーになってます。
その右奥が岩盤浴スペースと浴室。
左側奥がトイレットになってます。
出来るだけラグジュアリーホテルの
水廻りをイメージして計画しています。
洗面カウンター辺りはちょっと遊び心を。。。
仕上がるまで内緒にしておきましょう。














非日常的空間をコンセプトにしているので、
その趣旨に沿ったダイニングキッチン。
スチールの特注サッシのおかげで、
冬の太陽光がかなり奥まで延びてきます。
天井高が2,850㎜、サッシも2,850㎜あり、
開放感一杯です。
床暖房も階段、物入れ以外はすべて敷設されていて
快適な暮らしを実現出来そうです。














キッチンからリビング側。
幅3m程のスクリーンが黒いボックスから降りてきて
ホームシアターに変身させることになってます。
分電盤や弱電の機器類も家具の中に収納するように
計画してあり、空間をスッキリ見せるように配慮されてます。














南東から南西に面して大型のスチールサッシがセットされています。
人の大きさとサッシの高さを見比べてもらえば一目瞭然。
このサッシのアウトドア側は幅広のデッキが取り付けられますが
雨樋を見せたく無かったので、ちょっとした細工をしてあります。
回廊のようにデッキが建物を取り囲みます。


















階段室上部の天窓。ミニマムな構成です。
美しい光と空間にゆとりを持たせるための装置。
キッチンパネルの色に合わせ、
壁の塗装色にほんの少しだけパープルを混ぜてあります。
昼間、陰影のある場所にはそのパープルが薄っすら浮かび上がります。


















玄関へと続く階段手摺り。まだ塗装はしてません。
手摺りの端部は実は既製品のカーテンレールヘッドを
合体させたもの。
全体的に直線構成の住まいの中に、この部分のみ曲線を入れました。
玄関を開けた瞬間真っ白な空間が飛び込んでくるのですが
そこに何かほっとするディテールが欲しかったので。。。


















このお住まいは昼間もとても美しいのですが
私は照明が点灯される暮れなずむ頃から、
夜にかけてが一番美しいはずと想像しています。

それをご覧いただけるにはもう少し時間が必要なようです。