2014年11月27日木曜日

安堵と寂しさ



毎日がとんでもない速さで過ぎていきます。
スケジュール管理はしているものの、
やることが多すぎて、日々積み残しをしてるようです。
クライアントの皆様には色々とご迷惑をお掛けしておりますが、
今しばらくご辛抱下さいますようお願い致します。

京都北山のお住まい「新しい京都時間の佇まい」も
施主検査が数日前に完了し、引渡し前の手直しを進めてます。
RCの地下部分、木造の1F、2Fと混構造の建物です。

豊かな立体的な空間がとても気持ちがよく、
それでいて何処となく緊張感が漂います。
その緊張感がとても京都らしいと僕は思います。

 地階から見上げる玄関ホール側とキール構造階段の裏側。
この階段は普段あんまり見せない裏側のデザインが
表の顔になるように設計しています。手摺りがシャープなので
ピーンと張り詰めた緊張感があります。


















 中庭に植えられた株立ちのアカシデ。
5m程の高さがあります。
もう紅葉も終わりですが、来年は春の新緑から
クライアントご家族を楽しましてくれるのではないでしょうか?
歩廊のチャコールブラックの床とオフホワイトの壁の向こうに
アカシデが見えておりますが、とても美しいです。














リビング吹抜けの見上げ、そしてイタリア「FLOS」社の照明器具。
黒いものはスピーカーです。
天井まで5.5m。静かで豊かな空間です。














白い壁に黒いアザがあるように見えますが、
単なるレンズの汚れです。北側の庭のシマトネリコも
少し見えています。




























キール構造の階段がとても美しいです。
右側に少しだけ映り込んでいるのが和室。
床の間は床板が黒御影石、壁はオレンジとえんじ色が
混ざったような独特な色合い。
床柱は銘木ではありません。スチールの芯材に
メタリックなダイノックシートを貼ってあります。
天井は得意の船底天井。。。。。

そして最後にキッチン。
かなり大きなキッチンです。存在感もあります。
とても美しいキッチンです。
鏡面仕上げなので日々のお手入れが大変ですが、
使いやすそうです。
バック収納に46インチほどのTVモニターが組み込まれていて、
音声は天井に仕込まれたスピーカーから出力されます。














長い工事期間でしたので、大変でしたが
完成に近づくと安堵感もありますが、一抹の寂しさも覚えます。

2014年11月19日水曜日

約束



本日は卒業制作の授業日でした。
毎年この時期になると、学生達の進捗状況で頭が痛くなります。
なかなか進まぬ卒業制作の内容にこちらもイライラ。。。
時にはカミナリを落とすときもあります。

授業が終わり、以前から学生達と約束していた2つの事を
実行することになりました。

まず1つは学校に近所で設計監理をしている
「削ぎ取られた風景」の現場見学。
もう足場が撤去されて道路側の外観が
ど~んとそびえています。
この道路側には開口部がまったくないので、
なんの建物かわかりません。
美術館のような雰囲気にしたかったのもあって
壁には夜間ほんのりと明るい照明用スリットがあるだけ。
住宅街の中に独特の存在感を放っています。


















南側は庭周りの外構工事の最盛期。
色々な職種の職人さんたちが
必死で作業をしております。
そんな中、夕方授業終了後、現場見学会を行ないました。
学生達に建築の現場を見せてあげられる事はあまりありません。
今回のように学校のすぐ近くであり、
お施主様が快く見学を了承してくださいましたから、
工事中の建物内部を見ることが出来ました。
色々ご協力してくださった、工務店社長の「Tさん」、有難うございました。

その後、学生達と西中島南方にあるラーメン店を訪れました。
ここで2年生前期まで私の教え子だった「O君」が働いています。

彼は色々な事情で退学しました。退学前に相談も受けましたが
僕の力ではどうすることも出来ませんでした。
退学したあと、フェイスブックで彼と友達なりました。
その時に必ずラーメン食べに行くからと約束していたのです。
やっと今日尋ねることが出来ました。
全員では無かったのですが、クラスメート達が僕と一緒に
彼の店に同行してくれました。

久しぶりに彼の笑顔を見たとき、とてもホッとしました。
なんだかちょっと大人に見えました。

彼を目の前にして上手く言葉が出てきません。
「元気そうでよかった。これからも頑張れよ!」
そんな月並みな言葉しか見つからないのです。
もっと今言いたいことがあるのに、
どうしてもかけてあげたい言葉が出てきませんでした。
でも彼はわかっているんだろうなあ、
彼の笑顔がその答えのような気がしました。

今日行けなかった他のクラスメートを連れて
もう一度お店へ行こうと思います。
でも早く、彼が本当にやりたいことを早く実現出来るよう
僕も手助け出来る方法を考えてみたいと思っています。














夢の実現に向けて1歩づつ、前に進めよ「O君」!
応援してます。

2014年11月16日日曜日

集合住宅インテリア



ちょっとバタバタしているこの頃ですが、
その合間に現在大阪市北区で工事を進めている
単身者向け賃貸集合住宅のパンフレット写真用
モデルルームをコーディネートしてました。

異なる種類のモデルルームを3タイプ作るのですが
まずはオリエンタルな雰囲気の部屋を作りました。
単身者用ですから、1戸あたり30㎡に満たない大きさですが
その中で日々の生活をちょっと洗練させ、
スタイリッシュなイメージを想像して頂けるような設えを考えます。

テーマは「オリエンタルなシルクタッチの光沢感」
光モノをたくさん使いながら上品にまとめないといけません。

空間をイメージして頂けるように、最初に目に入るスリッパから
シルクタッチです。


















集合住宅を作る度に毎回モデルルームのイメージを考えますが
出来るだけ異なるイメージにしないといけないので結構大変です。
ネタ切れにならないよう勉強しないといけません。


















予算も限られているので、インテリアショップをハシゴしながら、
自分のイメージに合う小物を探しまくりますが、
どうしても用意出来ない時は、私物を提供したりします。
額に入っている写真は、私が過去に訪れたアジアのラグジュアリーなホテルで
あれこれ撮影したものをプリントしてます。


















今回は特に壁紙の一部をアクセントカラーにするよう
お施主様からオーダーがありましたので
その壁紙の色を決めた上で、全体のイメージを考えました。
鮮やかな色のクッションもタイシルクを使ってあり、
鈍い光沢感があります。

花材屋さんとか、生地屋さんとか普段行かないところを
ウロウロしたりしますから、なかなか楽しいですよ。


















今月中にあと2部屋まったく異なるイメージの部屋を作らないと。

その前に新しい集合住宅のプランを完成させないといけませんが、
トンネルの向こう側の灯りが見えてきたので、
まとめ上げて予定通りプレゼン出来そうです。

2014年11月15日土曜日

もう一人自分が欲しい



ちょっと寒くなって来ましたね。
現場での監理も少し辛くなるシーズンです。

毎日あちこちの現場を回って監理していますが、
一番遠い和歌山県新宮市の「ゆらぎの情景」は
監理に行く回数がどうしても減ってしまいます。

幸いにも施工を担当されている工務店さんとの
コミュニケーションが上手く機能しているため
何かあればすぐに連絡があり、タイムリーに対処できます。

またお施主様も建築系のお仕事をなさっているため
私の代わりに監理をして下さってることもあり、
とても助かっています。

京都の「新しい京都時間の佇まい」は
竣工検査も合格し、今は細かい手直しや、
施主発注の設備機器の取り付けや音響設備工事などが行なわれています。
今月末には年内完成予定住宅4棟の口火を切って引渡し予定ですが
外構工事に使用する輸入製品の到着が遅れているため
中庭周りが引き渡し後の工事になる予定です。

リビングから地下1階に降りていく階段回り。
まだクリーニングが済んでおりませんが、
床は濃いチャコールグレイに染色したオークのフローリング。
その回りは600角のタイルと大理石の框で見切っています。
地下1階といえど冬場の午後からは太陽光線が
地階まで差し込むように計画してあるため、
あまり湿気は感じませんし、換気設備も2箇所に設けて
湿気対策をしてあります。


















ダイニングテーブルがセットされる辺りから見たリビング、階段。
中央に空中歩廊。
その左側には南中線の光をリビングに取り込むためのサンルーム。
しっかりと1階リビング床まで太陽光は届いていました。
外部から見ると南側はガレージや諸室が配置されていて
閉じた空間になっていますが、実際に中へ入ると光が溢れた空間になってます。
この季節、午後1時過ぎになると西側の大開口からダイニングまで
太陽光が侵入してきます。
あまり陽射しが気になるときはドイツ製の電動式の外部ブラインドが
降りてきて光量調整をすることになっています。


















2階南北をつなぐ空中歩廊。
床は地下階段と同じチャコールグレイのオーク材。
表面をブラッシングして木目を浮き上がらせています。


















クリーニングも一部足場を組んでの作業。
5.5mの高さに排煙用のハイサイドライトがあるため
ガラスクリーニング用足場です。














植栽も含め完全に工事が完了すると、
昼夜ともに表情豊かな美しい空間が出現する予定です。
比較的大型の工事でしたので、監理にも時間がかかりますし、
クライアントの思いを何とか実現しようと奮闘した現場の一つです。

建物全体にクライアントご夫妻の拘りが詰まったお住まいですが
この先は竣工後カメラマンによる撮影写真をご覧頂くことになるかな。

他の3棟は12月下旬完成予定です。
それぞれに個性的な住宅ですが、それぞれのクライアントの個性が
どれだけ表現出来たのか。。。。お楽しみです。

2014年11月9日日曜日

シネマのように





















日曜の昼下がり、海を渡る風がすうっと部屋に中を駆け抜ける。
君は白いバスローブのまま、台所で何か作ってる。
僕は何ヶ月も前パリで買ったままだった、コクトーの画集を眺めながら
背の高いソファに座りテーブルに足を投げ出している。

この街はフランスだというのに、窓の向こうに広がる青い海からは
カンツォーネが風に乗って流れてくる。
台所仕事が片付いたのか彼女は片手にシャンパンの入ったグラスを持ち、
濡れた髪を包んでいたタオルを解きながら、眺めのいい海側の椅子に
腰を下ろした。

港の方から波に揺られながら、白い帆のヨットが窓を横切る。
「ねえ 明日 海へ出ない?」と彼女が空いた片腕を僕の首に絡ませながら
囁いた。「OK!OK!僕たちのバカンスは始まったばかりだ」と
言い切る前に唇を塞がれ、ソファに深く沈んでいった。



20年前撮影した写真とそれを見て書いた当時のコメントより






















この写真20年ほど前、南仏コートダジュールの小さな街「マントン」で
撮影したものです。当時はまだデジタルカメラが普及していなくて
一眼レフにスライド用のフィルムを装填し、1回の旅で500枚程の写真を
撮ってました。
物凄い量のスライド写真を保管しているのですが、そのフィルムを
デジタル化すると莫大な費用がかかってしまうため、
ずっとそのままになっています。
久し振りにスライドを眺めていたら、ちょっとした遊びで
そのフィルムをデジタルカメラで撮影してみたくなりました。
それが上記の写真。
美しい南仏の風景が写っています。そして色々な出来事を思い出します。

時々、そんな美しい写真とその写真に纏わるエピソードを
このブログに書いてみたいと思います。

僕と一緒に色々な国を旅してみませんか?


2014年11月2日日曜日



2足の靴の写真。














真新しい黒のウイングチップと
かなりくたびれたバックスキンのウイングチップ。
汚い写真でごめんなさい!

黒い靴は5年くらい前にイタリアで買った「フェラガモ」製。
靴のラインが僕好みだったし、履き心地もよかったので思わず買った
自分もこれくらいの靴が買えるようになったと、思いたかったのかも知れない。
しかし、まだ一度も履いたことがない。
最近はスーツを着る機会もほとんどなく、
いや袖を通さないようにしてると言うべきかもしれないが、
日々ジーンズしか穿かないので出番がない。
この靴君のためには時々履いてあげた方がいいのだろうけど。

つい数ヶ月前までは買ったまま箱に入った状態で
シューズクロゼットの奥にしまわれていた。
アトリエの近くにある靴の修理屋さんから、
革が劣化するから、時々新鮮な空気に触れさせなさいと言われ
慌てて靴箱からクロゼットの棚に並べた。


一方のバックスキンの靴。
僕が20歳になった時、成人の祝いに自分のために買った「リーガル」の靴。
当時の僕らの生活費からすればとても高価な靴だった。
その頃は父が死に、生活費を稼ぐためのアルバイトに明け暮れていたが、
長崎の幼馴染み二人と何か記念になるものをと、同じ靴を三人で揃えた。

40年以上前に買った靴だけど色々な愛着があり、
引越しをする度に処分出来ずにずっと一緒。
東京・新潟・金沢・大阪と、いつも僕の靴箱の中には
この靴が一番いいところに陣取っていた。
さすがに最近は履く機会も無いが、多分一生僕の傍にいると思う。

幼馴染二人の内一人は湘南葉山の「日影茶屋」という料亭で修行した後、
アメリカへ渡り、マウイ島のキヘイという町で日本料理店を長く開いていたが、
数年前、奥さんの健康等の事情もあり日本に戻って
今は軽井沢で「廣八」という料理店をやっていてる。
年に一度程度会うことがある仲。

もう一人の幼馴染は奥さんの故郷である仙台に移り住んだ。
彼もレストランを経営し、仙台では有名なお店になっていたようだが
その後、後輩に店を譲りいまは音信不通。
もう、30年以上会っていない。
震災の時、被害に遭遇してなければいいのだが、
今はまったく消息がわからない。
高校も大学も一緒だったから、いつも気になっているのだが、
知り合いの誰かに連絡をくれたらと思う。

もし、連絡が取れたら、軽井沢の幼馴染も呼んで
一緒に生活していた渋谷区千駄ヶ谷辺りで会いたいと思う。
大事に取って置いたこの友情の証の「靴」を持って。。。