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2014年2月7日金曜日

数奇屋の住まい



長い時間をかけて計画しいるあるお住まい。
計画がスタートしてもう1年半が過ぎました。

日本家屋をベースにアメリカやヨーロッパでの生活経験を生かした
ライフスタイルを盛り込んでプランニングしているのですが、
ご夫妻のイメージに限りなく近いものを目指しているので
そう簡単にはお施主様からOKが出ません。

写真はファーストプレゼンした模型。
リビングの前庭が水盤になっており、
水盤の中に「観月台」を計画したものです。














まずは周辺の山々を含めた四季の風景を把握することから始まり、
イメージを掴むため数奇屋の建物に宿泊し、細かいディテールを調べたりと
ある意味、自分自身の修練と日本建築の空間の豊かさを掴む
勉強をさせて頂いております。
まだ、少なくとも1年以上はこのプレゼンの繰り返しになると思います。

下の写真は勉強のために宿泊した「旅亭 半水廬」
数奇屋の贅を尽くした建物ですが、
落ち着きのある、ゆったりとした空間で、
心の奥底にある日本人の情感を揺り動かされる美しい建物でした。














































お施主様から教えて頂く事ばかりですが、月に1度お会いする日を
僕自身はワクワクしながら待ち望んでるところもあります。
少し歳を重ねてきたので、このようなお話をいただける様に
なったのかもしれません。
もっと必死で勉強しなければと思う日々です。

2013年10月25日金曜日

建築写真家



スタジオクランツォが設計する建物の竣工写真、
今はある一人の建築写真家にお願いしております。

「4X5」のデライトフィルムやタングステンフィルムで撮影していた時代は
グラフィック系の写真家や若手の才能ある写真家、
企業写真事務所など、何人かにお願いしておりました。

世の中がデジタル時代に移り変わり、
カメラもほとんどが撮影後の処理が簡単に出来るデジタルカメラになり
撮影時の写真家の勘や微妙なテクニック、経験値による写真の出来栄えが
それほど変わらなくなったような気がします。

それでも設計者の意図を汲み取り、
それを表現する力はやはり長く付き合った写真家との
「あうんの呼吸」があればこそ、私のデザインした建物は
私らしくあるのだと思います。

建築写真はある意味、そこに存在している本当の建物とは
どこか違うかもしれません。
それは「まだ色がついていない」からです。
建物は設計・施工者から施主に引き渡された瞬間から
施主の色に少しずつ変化していきます。
それもまた楽しい事だと思います。

できることなら、デザインしたそれぞれの建物、
同じ建築写真家の手で、10年刻みぐらいで定点写真にしてみたいですね。
建物が施主によってどのように変化し、写真家はそれをどのように表現するのか
とてもワクワクします。






























































「抱きしめられる家」 2013年・9月  竣工

撮影  清水向山建築写真事務所

















2012年6月5日火曜日

美意識



日曜日の夜、クライアントの「Kさん」、友人の「S君」と久しぶりに
京料理 「緒方」を訪れました。

今の旬は舞鶴のとり貝なのですが、今日はその話ではなく
緒方の主人「緒方俊郎」氏の美意識のことです。

ずっと緒方さんの料理って何だろうって考えてました。
何度か伺うようになって、お店にちょっと馴染んで落ち着き
「しつらえ」をみる余裕も出てきました。

それまでは出される料理に負けまいと舌を敏感にし、
一品一品と対峙するような気持ちでいました。
何かコメントしなくちゃみたいな力んでるところがあって、
地に足がついてないなあと自分でもわかってました。



















その日、カウンターの向こうには1枚の板らしきものが
掛けてありました。

何か野地板か床板のような気がしたので「これは軒か
何かの板ですよね?」と尋ねると、「軒先の板です」と
言われ「天平時代のものです」とさりげなく言われた。
天平ってそれ奈良時代じゃないですか!
そんなものがこのお店に普通に掛けてある。
「値段のつけようがないものでしょ?」
「そうです、でも自分で買ったんです!」
何か緒方さんの底知れぬ美への探究心を感じた。

そうやってもう一度ゆっくり店のしつらえを眺めてみると
何度眺めてみてもいいなあと思う京聚楽の壁、換気のため
開けてある辺りは外気と触れて味のある黒ずみが現れている。
天井の細工、坪庭がまた別物に見えてきた。
数奇屋の名匠「中村外二工務店」らしい仕事。
玄関を入った待合には大ぶりのヤマボウシが活けてある。

最初に出された飯には水尾の柚子の花が添えられ














焼霜仕立てのあぶらめには季節を現す早苗が。。














漆黒の椀の中には唯一新玉葱が花びらのように浮かんでいる。














椀蓋に描かれた蒔絵、露に濡れた葉の風情。














じゅんさいと梅、そこに映る光が水面のゆらめきのよう。














「削ぎとっていく美」茶の湯や生花に通ずる
彼の料理美学を今回本当に思い知らされた。
この店に入った瞬間から彼の料理が始まり
またしつらえもそれを補うようにしっかりと考えられている。
すべてが計算されているのに「なんとまあ、ありのまま」。

彼の料理を前衛的と表現する人も多いと聞くが
いやいや僕はこの人、「本当に日本料理を作ってる!」と感じた。

次の機会があれば是非緒方さんと料理以外のところを
お話してみたい。
きっと凄い人たちが彼を支えているのだろうなあ。